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談 no.94

縮退の方途

談 no.94

文化、芸術、思想、科学などについて各界気鋭の論壇を招き、深く掘り下げるワンテーマ誌。

著者 公益財団法人 たばこ総合研究センター 編著
鬼頭 宏
赤川 学
五十嵐 敬喜
シリーズ
出版年月日 2012/07/10
ISBN 9784880652986
判型・ページ数 B4・82ページ
定価 880円(本体800円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

特集「縮退の方途」

日本の人口は、2060年までに約4100万人が減少し、そのうちおよそ4割が65歳以上に達すると予想されています。 税収が減り、国の財源は縮小、年金を始めとする社会保障制度はますます不安定になると懸念されています。 人類はその誕生期から「成長」することしか経験してこなかったので、人口の縮小は、即「衰退」のイメージと結 びつき、ネガティブな感情を抱かせます。しかし、縮小イコール衰退ではないことは言うまでもありません。われ われに必要なのは、縮小という事態を受け入れて、縮小のヴィジョン、縮退の方途を見出すことではないでしょうか。 歴史人口学、社会学、都市計画の分野から、人口の縮小を乗り切るための方途を探ります。

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目次

〈人口学的「重荷」の時代……人口減少の意味するもの〉鬼頭宏(上智大学経済学部教授)
平均寿命が九十歳にもなろうという時代に、今までと同じ老人観でいいのか、長い一生涯を連れ添うだけの結婚観でいいのか、そういう問いかけを、今、みんなが知らず知らずのうちに始めていて、まだ自分自身で実行できなくても、半信半疑でも、行き先はもうだいたい見え始めてきている。今はそんな段階じゃないでしょうか。

〈人口減少、少子高齢化から考える〉赤川学(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部社会学研究室准教授)少子化や人口減少がもたらす問題の本質は、現役労働人口の減少、経済規模の縮小、経済成長の鈍化、現行年金・医療・介護制度の不安定化といった個々の現象にあるんじゃなくて、一国の豊かさを人々にどのように配分するか、その財やサービスの配分のありようが公正化かどうかにその本質を見るべきじゃないか。国民一人当たりの豊かさが減るわけではないんですから。それはあくまで制度設計や社会構想の理念にかかわる問題なんです。

〈コモンズ、そして総有論へ……〉五十嵐敬喜(法政大学法学部教授)人口減少への切り札 まちづくりをどのようなかたちで実現するかは、そこに住むみなさんの自由です。つまり共同の定期借地の上で、自分たちのまちづくりを行おうというわけです。

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