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談 no.96

痛みの声を聴く

談 no.96

文化、芸術、思想、科学などについて各界気鋭の論壇を招き、深く掘り下げるワンテーマ誌。

著者 公益財団法人 たばこ総合研究センター 編著
粥川 準二
外須 美夫
シリーズ
出版年月日 2013/03/10
ISBN 9784880653150
判型・ページ数 B5・86ページ
定価 880円(本体800円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

特集「痛みの声を聴く」
世界から痛みがどんどん消えている。痛みへの無感覚が蔓延し、痛みを痛みと感じない身体が
組織されようとしている。しかし、生活とは、痛みとともに生きることではなかったのか。
今、あらためて問う「生活」、「身体」、「病」という現実。

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目次

粥川準二(ライター、翻訳者、ジャーナリスト)
問題の根底には、「病気や痛みは自己責任」と考えられているということがあると思います。病気や痛みがすべて個人の責任に帰され続ける限り、社会にある「痛点」に触れることができないまま、現状がずっと続いてしまうかもしれない。むしろ病気や痛みを起点として、その人を取り巻く環境、ひいては社会全体を改善していくくらいの意識をもつことが重要なのではないか。

外須美夫(九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学教授)
痛みに苦しむ時、誰もがこの世界に痛みが無ければいいと願うでしょう。けれども痛みが無ければ、痛みによって生まれるものを見ることもできません。痛みは人を動かす大きな力です。痛みや病気や死を排除しない社会、それらによって健全につながる社会を、見つめていきたいと思っています。

篠原雅武(大阪大学大学院国際公共政策研究科特任准教授)
世界が壊れるかもしれないことを、「痛み」という感覚をつうじて予見しているはずなのです。「痛み」が生じるのは、私たちの生きている状況が脆くて、壊れやすくなっているからで、壊れそうなところに生じるのが「痛み」なのです。「痛み」は、主観的な経験ではあるけれども、やはり客観的な実在性をもっていて、「脆さ」、「壊れやすさ」を端的に表現するもの、それ自体だということです。

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