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談 no.104

恐怖の報酬 怖いもの見たさの謎

談 no.104

文化、芸術、思想、科学などについて各界気鋭の論壇を招き、深く掘り下げるワンテーマ誌。

著者 公益財団法人 たばこ総合研究センター 編著
山根 一郎
加藤 耕一
都留 泰作
シリーズ
出版年月日 2015/11/10
ISBN 9784880653723
判型・ページ数 B5・82ページ
定価 880円(本体800円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

特集「恐怖の報酬……「怖いもの見たさ」の謎」怖いもの見たさということばがある。歌舞伎の人気演目「怪談もの」の最高傑作「東海道四谷怪談」。その真骨頂は、まさに「怖いもの見たさ」だ。
怖いけど見てみたい、恐ろしいけど体験したい。不気味なもの、怪しいもの、あるいは不安なものへの限りない傾倒。この形容しがたいアンビバレントな感情を、人は、なぜ、いつから抱くようになったのだろうか。『談』no.104号は、この恐れの感覚、恐怖の感情の秘密に迫る。
タイトルの「恐怖の報酬」は、1953年制作のイブ・モンタン主演のフランス映画。恐怖のアンビバレントな感覚それ自体を主題とした傑作。

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目次

〈怖いもの見たさ…恐怖の二重構造から考える〉
山根一郎 (椙山女学園大学人間関係学部教授/社会心理学)
「危険な恐怖」と「危険ではない恐怖」という二種類の恐怖。その二重構造の発現という観点から、「恐怖の成熟」、「恐怖の娯楽化」へ持論を発展させる山根氏の“愉みとしての恐怖"論。

〈すべては「気配」…不気味な館に魅せられて〉
加藤耕一 (東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授/西洋建築史)
人々は、いつから「恐怖」を娯楽として愉しむようになったのか。加藤氏は、崇高、不気味なもの、ファンタスマゴリー、蝋人形などに触れながら、文学、映画、音楽などの諸ジャンルを横断しつつ、ゴシックという概念のさまざまな変容を追究する。そしてそのゴシックの行き着く先に登場したのが幽霊屋敷だった。幽霊屋敷は、ゴシックの帰結であると同時に、新たな愉しみの創造だったのだ。

〈脳はホラーを求める?…世界観エンタメとしての恐怖〉
都留泰作 (京都精華大学マンガ学部准教授/文化人類学、マンガ家)
「ホラー」小説やマンガは、哲学へと通じている。それは、「ホラー」が形而上学的な意味での「外部」を体験させてくれるからだ。そして、エンタメの世界における「恐怖」とは、そのような形而上学的思考を「体感」させてくれるロケットエンジンのような役割を果たす、唯一の動物的感覚なのではないか。文化人類学者にしてマンガ家である都留氏が考えるエンタメ恐怖論。

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