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芸術文化の投資効果

メセナと創造経済

芸術文化の投資効果

実践企業の事例多数収載! 企業メセナ活動の第一人者が報告する創造経済への企業寄与がもたらす社会像。

著者 加藤 種男
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2018/09/25
ISBN 9784880654508
判型・ページ数 A5並製・392ページ
定価 3,520円(本体3,200円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

オビ推薦文・中谷巌(経済学者)
本書は日本のメセナ活動に多大の貢献をしてこられた著者が、
芸術文化がいかに創造経済の発展のために
重要な役割を果たしてきたか、数々の事例をもって示した
きわめて貴重な記録である。
文化と経済にかかわるすべての人の必読書だ


実践企業の事例多数収載!
企業メセナ活動の第一人者が報告する創造経済への企業寄与がもたらす社会像。 

 経済と文化は対立関係にあるとみなされてきた。あるいは、経済と文化の関係は常に緊張をはらんできた。経済から見ると、一方的に支援を要請してくる文化は金食い虫で、経済的負担をもたらすことはあっても、まさか経済発展に寄与するなどとは考えもしなかった。

 にもかかわらず不思議なことに、企業や経済人が惜しみなく芸術文化に投資を続けてきた事例を多数見出すことができる。投資者にとって決して有利とは見えない投資をなぜ多くの人がしてきたのか。それを本書では検討する。

創造経済学から言うならば、芸術文化に対する投資は、社会的観点からも見ても、企業経営の観点から見ても研究開発に投資することと全く同じである。創造経済の現場には実に豊かな世界が広がっている。その豊かな世界の現場からの報告が本書である。

 芸術文化振興への支援をメセナと呼んできた。特に企業の活動を企業メセナという。本書では、企業メセナを芸術文化への投資としてとらえ、芸術文化の振興はもちろん、広く社会創造に寄与する活動を意味する言葉として使う。

全体の構成は以下の通りである。

第一章から第五章までで企業メセナの現状、すなわち創造経済のこの二、三十年の姿を概観する。福武總一郎とベネッセの仕事に始まって、竹中工務店と棟梁文化、福原義春と資生堂の仕事を中心に、東日本大震災の復興と企業メセナなど多彩な側面を含む。

そして、第六章でこの概観のもとになった画期について触れる。すなわち、企業経営者のパトロン型メセナから組織としての企業メセナへの転換である。

第七章と第八章では、企業メセナに至る前史を検証する。明治期から昭和期にかけての三人の企業人の活躍を中心に取り上げる。今日の横浜の基礎を築いた原三溪、田園都市構想によって宝塚歌劇を創設した小林一三、民芸のパトロンに始まり芸術文化の大衆化を推進した山本爲三郎の三人である。

そして、最後に芸術文化と経済の関係の創造的再構築のために、グローバルとローカルについて小論を立てて、本書を締めくくる。

【本書に登場する主な企業・団体名】(50音順・法人格を省略)
IIJ(インターネットイニシアティブ)/朝倉不動産/朝日酒造/朝日新聞/朝日新聞文化財団/アサヒビール/アサヒビール芸術文化財団/アジアン・カルチュラル・カウンシル・ニューヨーク)/アリオン音楽財団/石橋財団/板室観光ホテル大黒屋/今井書店/イムズ/NEC/NHK/NTTドコモ/近江兄弟社/大阪ガス/おおさか創造千島財団/大林組/お菓子の香梅/沖縄タイムス/小田急百貨店/花王芸術・科学財団/鹿島/片倉工業/カトーレック/カルチエ現代美術財団/企業メセナ協議会/キヤノン/京都精華大学/京都造形芸術大学/京都服飾文化財団/キリンビール/近畿タクシー/近鉄百貨店/くにづか/倉敷紡績/グロー/慶應義塾大学/弦地域文化支援財団/国際交流基金/五島記念文化財団/埼玉県芸術文化振興財団/札幌市芸術文化財団/産経新聞/サントリー/サントリー芸術財団/資生堂/シベール/シヤチハタ/ジャパン・ソサエティ・ニューヨーク/主婦の友社/昭和音楽大学/昭和電工/女子美術大学/新日鐵住金/新日鐵住金文化財団/住友財団/住友生命/西武百貨店/セゾングループ/セゾン文化財団/全日本郷土芸能協会/全日本製造業コマ大戦世界大会実行委員会/損保ジャパン日本興亜/損保ジャパン日本興亜美術財団/第一生命/大日本インキ化学工業(DIC)/大日本印刷/ダイムラー・グループ/ダイムラー・ファウンデーション/高島屋/竹中工務店/たねや/近沢レース店/千島土地//DNP文化振興財団/TOA/寺田倉庫/テルモ/テルモ生命科学芸術財団/テレビマンユニオン/天神橋筋商店連合会/電通/東海旅客鉄道(JR東海)/東急グループ/東急百貨店/東急文化村(Bunkamura)/東京オペラシティー文化財団/東京芸術大学/東京新聞/東武百貨店/十勝毎日新聞/凸版印刷/トヨタ自動車/中村ブレイス/名古屋鉄道/西日本新聞/ニッカウヰスキー/日本経済新聞/日航財団(JAL財団)/日産自動車/ニッセイ基礎研究所/ニッセイ文化振興財団/日本オリーブ/日本毛織/日本国際交流センター/日本政策投資銀行/日本生命/日本大学/日本マクドナルド/日本郵船/日本郵便/ノキア/野村財団/野村ホールディングス/ハイネケン・ジャパン/パナソニック/原田・ガトーフェスタハラダ/阪急電鉄/阪急阪神東宝グループ/帆風/東日本鉄道文化財団/東日本電信電話/東日本旅客鉄道(JR東日本)/福武財団/福武書店・ベネッセコーポレーション/フジサンケイグループ/富士ゼロックス/プラットイーズ/文化庁//ベルリッツ/ホテルオークラ/ホームセンターアグロ/毎日新聞/パナソニック/マルヤガーデンズ/萬野記念文化財団/三井住友海上火災保険/三井住友銀行/三井物産/三井不動産/三越/三菱地所/三菱商事/三菱総合研究所/三菱マテリアル/三菱UFJ総研/村岡総本舗/村上町屋商人会/明治生命/萌木の村/油機エンジニアリング/横浜市芸術文化振興財団/読売新聞/リクルート/琉球銀行/琉球新報/レクザム/六花亭製菓/ローム/ロームミュージックファウンデーション/ワコール
*2022年7月。カバーデザインが新しくなりました。

【著者】加藤種男(かとう・たねお)
クリエィティブ・ディレクター。アサヒビール株式会社企業文化部を経てアサヒビール芸術文化財団事務局長。アサヒ・アートフェスティバルなど多数の企画を立ち上げる。2004〜10年横浜市芸術文化振興財団専務理事兼大佛次郎記念館館長。12〜17年企業メセナ協議会専務理事。そのほか東京都歴史文化財団エグゼクティブ・アドバイザー、京都造形芸術大学客員教授、文化審議会政策部会委員など歴任。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
*プロフィールは本書刊行時の物です。

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目次

第一部  創造経済の現場 その多様な広がり

第一章 企業が担う地域創造、創造都市の展開
一、福武總一郎とベネッセの壮大な実験
二、近江八幡の場合
三、地域創造、都市創造の展開

第二章 文化の多様性、メセナの多様性
一、企業メセナを牽引した百貨店と新聞社
二、気鋭の芸術家の発掘支援
三、本業のノウハウを生かした企業メセナ

第三章 文化施設 ハードとソフト
一、企業による文化施設の展開
二、企業オフィスの芸術文化活用
三、箱もの批判と音楽ホール

第四章 東日本大震災と企業メセナ
一、迅速に対応した企業メセナ 
二、企業メセナの広がりとアートNPOフォーラム
三、震災を巡る先人の知恵

第五章 アート・プロジェクトの時代
一、企業はなぜ音楽が好きか
二、アート・プロジェクトの時代

第六章「企業メセナ」の誕生
一、資生堂と文化資本経営
二、企業メセナ協議会の発足
三、財団の設立とその可能性

第二部  企業メセナの前史 先駆者たちの文化投資

第七章 殖産興業の時代 原三溪の夢
一、殖産興業とメセナ
二、パトロンとしてのメセナ

第八章  民衆文化の再評価と総合芸術の成立
一、山本爲三郎と民藝
二、小林一三の夢と宝塚

第三部  芸術文化のトラウマから脱するために 
第九章  グローバルとローカル

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