談 no.97
〈快〉のモダリティ

文化、芸術、思想、科学などについて各界気鋭の論壇を招き、深く掘り下げるワンテーマ誌。
著者 | 公益財団法人 たばこ総合研究センター 編著 廣中 直行 著 間々田 孝夫 著 十川 幸司 著 |
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シリーズ | 談 |
出版年月日 | 2013/07/10 |
ISBN | 9784880653235 |
判型・ページ数 | B5・86ページ |
定価 | 880円(本体800円+税) |
在庫 | 在庫あり |
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内容説明
特集「〈快〉のモダリティ」
快楽は、人間にとっていわばエンジンのような存在である。ただ、エンジンがそうであるように、
時にそれは暴走することもある。それをコントロールするのが大脳皮質の役割であり、人間はそ
のコントロール装置としての大脳皮質を発達させることで、快楽をうまく操れるようになった生
きものだ。むしろ快楽をうまく操縦して、楽しく生きることそれ自体が人間にとっての目的であ
るといってもいいのである。人間における快楽の重要性を説き、快楽とどう向き合うか、また、
人の営み、社会の営みのなかで、快楽を位置付け直し、快楽そのものの意味を問う。
快楽は、人間にとっていわばエンジンのような存在である。ただ、エンジンがそうであるように、
時にそれは暴走することもある。それをコントロールするのが大脳皮質の役割であり、人間はそ
のコントロール装置としての大脳皮質を発達させることで、快楽をうまく操れるようになった生
きものだ。むしろ快楽をうまく操縦して、楽しく生きることそれ自体が人間にとっての目的であ
るといってもいいのである。人間における快楽の重要性を説き、快楽とどう向き合うか、また、
人の営み、社会の営みのなかで、快楽を位置付け直し、快楽そのものの意味を問う。
目次
〈快〉の幸福論……人間の欲求と「やみつき」のちから〉
廣中直行(神経精神薬理学)
火それ自体が人間にもたらす感覚的な「快」が先ずあって、夜でも明るくて便利だとか、冬でも暖かいとか、食料を煮たり焼いたりすると食べやすかったりおいしくなったりするといったこと、つまり「機能」は二の次ではないかと。人間にとっての「快」とは、後回しにしてもいいような付加的なものではなくて、むしろそれが人間存在の根本にあるものではないかと、今はそう思うようになりました。
〈消費社会と快楽のゆくえ…真物質主義から第三の消費文化へ〉
間々田孝夫(立教大学社会学部教授)
今の若い人を見ていると、ほとんど「快楽」という意識をもたずに消費行動を楽しみ、それゆえに快楽のもつネガティブな側面から解放されているというふうにも見えます。むしろ外見は一般的な生活を維持しながら、内面は自分の趣味や興味のある対象にはひたすら寄り添っていくことで大きな楽しみを得る。そういう快楽に、おそらく今はなっているし、これからもそういう方向で成熟と深化をとげていくんだろうと思います。
〈喜び、快楽のモダリティを変えること〉
十川幸司(精神分析家)
喜びということは、快楽のモダリティを変えることによって、生まれてくる情動です。それは現実を無視することでも現実に服従することでもなく、逆に、現実をよく見据えるなかでしか、生まれてこない情動です。快をベースとして、喜びを見出すこと……そこにこそ精神分析の課題があると思います。
※内容はいずれも本書インタビューより。※所属などは本書の発売時のものです。
廣中直行(神経精神薬理学)
火それ自体が人間にもたらす感覚的な「快」が先ずあって、夜でも明るくて便利だとか、冬でも暖かいとか、食料を煮たり焼いたりすると食べやすかったりおいしくなったりするといったこと、つまり「機能」は二の次ではないかと。人間にとっての「快」とは、後回しにしてもいいような付加的なものではなくて、むしろそれが人間存在の根本にあるものではないかと、今はそう思うようになりました。
〈消費社会と快楽のゆくえ…真物質主義から第三の消費文化へ〉
間々田孝夫(立教大学社会学部教授)
今の若い人を見ていると、ほとんど「快楽」という意識をもたずに消費行動を楽しみ、それゆえに快楽のもつネガティブな側面から解放されているというふうにも見えます。むしろ外見は一般的な生活を維持しながら、内面は自分の趣味や興味のある対象にはひたすら寄り添っていくことで大きな楽しみを得る。そういう快楽に、おそらく今はなっているし、これからもそういう方向で成熟と深化をとげていくんだろうと思います。
〈喜び、快楽のモダリティを変えること〉
十川幸司(精神分析家)
喜びということは、快楽のモダリティを変えることによって、生まれてくる情動です。それは現実を無視することでも現実に服従することでもなく、逆に、現実をよく見据えるなかでしか、生まれてこない情動です。快をベースとして、喜びを見出すこと……そこにこそ精神分析の課題があると思います。
※内容はいずれも本書インタビューより。※所属などは本書の発売時のものです。