内容説明
第1章では鉄筋コンクリート構造の常識的なこと、および構造計算をするに当たっての基本的な考え方などを、数式を用いず簡単に説明。鉄筋コンクリートとはどのような性質のものであり、その強さの秘密はどこにあるのか、構造計算はどのような手順で行うのかなど概略を解説。
第2章~第4章は、鉄筋コンクリート構造の構造計算を実際にやってみる方を対象に、第2章では鉄筋コンクリートの断面算定の方法、第3章では骨組の保有水平耐力の求め方、第4章では実際の構造計算書の作り方について述べる。
本書は昭和55年の初版刊行以来、鉄筋コンクリートの構造設計を学ぶ人たちの入門書として長きにわたり支持された『改訂新版 鉄筋コンクリートの構造設計入門』(相模書房刊)を読者・関係者の要望に応え復刊したものです。
【著者】田中 礼治(たなか・れいじ)
1940 年秋田県能代市生まれ。1968年明治大学工学研究科大学院博士課程修了、工学博士。1986年東北工業大学工学部建築科教授。2011年東北工業大学名誉教授。2012年四川大学外国人特別招聘教授。日本建築学会理事(2010~2012)一般社団法人日中防災協会代表理事などを勤める。
*プロフィールは本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第1章 鉄筋コンクリートの常識を学ぶ章
1.1 鉄筋コンクリート構造を自分で構造設計するためには何を勉強
しなければならないのか?
1.2 まず簡単な構造計算例を実際にやってみよう
1.3 鉄筋コンクリートの常識
ⅰ)コンクリートの強さと鉄筋の強さ
ⅱ)鉄筋をなぜいれるのか?
ⅲ)鉄筋は曲げモーメント図の出る側に入れよ
ⅳ)せん断力によってもコンクリートに引張力が生ずる
ⅴ)鉄筋はよく定着しておくこと
ⅵ)鉄筋とコンクリートはよく付着していなければならない
1.4 もう一度図1.2.1の構造計算例にもどってみよう
1.5 もう少し建築物らしい構造計算例をやってみよう
第2章 鉄筋コンクリート部材の設計方法をマスターする章
2.1 鉄筋コンクリート部材を設計するに当たって
2.2 まず使用するコンクリート強度と鉄筋強度を決める必要がある
2.3 「鉄筋量の求め方」に関する基本的な考え方と許容応力度について
2.4 手始めに、はりの主筋量を求めてみよう
2.5 使用する鉄筋径および鉄筋本数は付着設計をして決める
ⅰ)まず、付着の必要性を理解しよう
ⅱ)付着力とは「コンクリートが鉄筋をつかまえている力」である
ⅲ)何故付着強さには限界があるのか
ⅳ)付着強さ(付着強度)を求めてみよう
ⅴ)付着設計の方法
2.6 柱の主筋量の求め方
2.7 はり、柱部材の断補強筋量(あばら筋、帯筋)の求め方
2.8 床スラブおよび小ばりの設計
ⅰ)スラブの種類
ⅱ)床スラブの最小厚さ
ⅲ)スラブに生ずる応力と配筋要領
ⅳ)スラブ設計用曲げモーメントとスラブ筋量の算定
ⅴ)スラブの設計例
ⅵ)小ばりの設計
2.9 耐震壁の設計
ⅰ)耐震壁の性質
ⅱ)耐震壁の許容水平せん断力と壁筋量の算定
ⅲ)耐震壁の最小必要規定
ⅳ)無開口耐震壁の設計例
2.10 基礎の設計
ⅰ)基礎の種類
ⅱ)基礎の設計に関する基本的な考え方
ⅲ)独立基礎の設計
第3章 2次設計をマスターするための章
3.1 構造計算の必要性は建築基準法で決められている
3.2 構造計算の方法は自分で選択して自分で決める
3.3 2次設計とは?
3.4 設計用地震力の求め方
3.5 壁量のよる建物耐力の算定と設計ルートの決定
3.6 層間変型角の求め方と判定
3.7 剛性率の求め方と判定
3.8 偏心率の求め方と判定
3.9 保有水平耐力の求め方
ⅰ)保有水平耐力とは?
ⅱ)保有水平耐力を用いた耐震設計の考え方
ⅲ)鉄筋コンクリート建物の強度と粘りの一般的性質
ⅳ)部材の力学的性質と終局強度設計式
ⅴ)骨組の保有水平耐力の求め方
3.10 必要保有水平耐力の求め方
第4章 鉄筋コンクリートの構造計算をマスターするための章
4.1 実施設計例
§1 一般事項
§2 準備計算
§3 鉛直荷重時ラーメン応力の算定
§4 水平過重時ラーメン応力の算定
§5 梁・柱の断面算定
§6 小ばりの設計
§7 床スラブの設計
§8 基礎および基礎ばりの設計
§9 層間変形角の検定
§10 剛性率の検定
§11 偏心率の検定
§12 壁量の検定
§13 保有水平耐力の検定
4.2 実施設計例の解説
§1 一般事項
§2 準備計算
§3 鉛直荷重時ラーメン応力の算定
§4 水平過重時ラーメン応力の算定
§5 はり、柱の断面算定
§6 小ばりの設計
§7 床スラブの設計
§8 基礎の設計
§9 層間変形角の検定
§10 剛性率の検定
§11 偏心率の検定
§12 壁量の検定
§13 保有水平耐力の検定
付録 演習問題