内容説明
《ラ・トラヴィアータ》を筆頭に《ジョヴァンナ・ダルコ》《ルイーザ・ミッレル》《アイーダ》……。
ソプラノをタイトルロールにした作品はもちろん、ヴェルディのオペラには魅力的なヒロインが多く存在する。
本書は「ソプラノ」=「女性」を軸に、その行動や心理状況を追いながら、ヴェルディの目指した「心理劇」の面白さなどを今までと異なる視点で解説。さらに本邦初、初演を歌ったソプラノ歌手の生涯など様々なエピソードを紹介しながら「ヴェルディのオペラ」の魅力を再発見する一冊。
【著者】小畑 恒夫(おばた・つねお)
東京藝術大学卒業。オペラ留学中のイタリアで音楽評論を始め、現在に至る。音楽専門誌での批評活動やオペラ公演のプログラム、オペラCD の解説、放送や講座、さらにNHK の放送字幕などで活発な活動を続ける。現在昭和音楽大学教授、日本ヴェルディ協会理事、日本ロッシーニ協会運営委員。 著書に『ヴェルディ 作曲家・人と作品』(音楽之友社)『オペラ・キャラクター解読辞典』(共著, 音楽之友社)。訳書に『ロッシーニ 仮面の男』(音楽之友社)『評伝ヴェルディ』(草思社)ほか多数。
*プロフィールは本書刊行時のものです。
※Webサイト「オペラ・エクスプレス」に本書が紹介されました。(文・井内美香)
http://opera.jp.net/archives/5807
目次
1.サン・ボニファーチョの伯爵オベルト レオノーラ または 恋に導かれた地獄
アントニエッタ・ライネーリ=マリーニ*初演歌手(以下同)
2.一日だけの王様 ポッジョ侯爵夫人 または ヴェルディ流「陽気な未亡人」
アントニエッタ・ライネーリ=マリーニ
3.ナブコドーノゾル アビガイッレ または 屈辱が生んだ野望
ジュゼッピーナ・ストレッポーニ
4.第一次十字軍のロンバルディーア人 ジゼルダ または 愛の逃避行
エルミーニア・フレッツォリーニ
5.エルナーニ エルヴィーラ または 男たちの名誉に翻弄される愛
ゾフィー・レーヴェ
6.二人のフォスカリ ルクレツィア または 貴婦人の怒り
マリアンナ・バルビエーリ=ニーニ
7.ジョヴァンナ・ダルコ ジョヴァンナ または 聖と俗の狭間
エルミーニア・フレッツォリーニ
8.アルヅィーラ アルヅィーラ または インカの花嫁
エウジェーニア・タドリーニ
9.アッティラ オダベッラ または 悩めるユディト
ゾフィー・レーヴェ
10.マクベス レディ・マクベス または 野望の代償
マリアンナ・バルビエーリ=ニーニ
11.群盗 アマーリア または 夢に生きた女
イェニー・リンド
12.イル・コルサーロ(海賊) グルナーラ または 太守を殺した女
マリアンナ・バルビエーリ=ニーニ
13.レニャーノの戦い リーダ または 自ら封じた恋
テレーザ・デ・ジューリ=ボルシ
14.ルイーザ・ミッレル ルイーザ または 純愛の悲劇
マリエッタ・ガッザニーガ
15.スティッフェーリオ リーナ または 不倫と許し
マリエッタ・ガッザニーガ
16.リゴレット ジルダ または 愛の目覚め
テレーザ・ブランビッラ
17.イル・トロヴァトーレ レオノーラ または 究極の愛
ロジーナ・ペンコ
18.ラ・トラヴィアータ ヴィオレッタ または 娼婦の自己犠牲
ファンニ・サルヴィーニ=ドナテッリ、マリーア・スペーツィア
19.シチリアの晩鐘 エレーヌ または 平和の幻想
ソフィア・クルヴェッリ
20.シモン・ボッカネグラ マリーア または 闇を照らす光
ルイージャ・ベンダッツィ、アンナ・ダンジェリ
21.仮面舞踏会 アメーリア または 破滅の恋
ウージェニア・ジュリエン=ドジャン
22.運命の力 レオノーラ または 贖罪の旅
キャロリン・バルボ、テレーザ・ストルツ
23.ドン・カルロス エリザベート または 青春の封印
マリ・コスタンス・サス
24.アイーダ アイーダ または 死への憧憬
アントニエッタ・ポッツォーニ
25.オテッロ デズデーモナ または 貞節の悲劇
ロミルダ・パンタレオーニ
26.ファルスタッフ アリーチェ または 利口な女房
エンマ・ヅィッリ
参考・引用文献
索引
*全26作品……改作による2作品(「第一次十字軍のロンバルディーア人」→「イェルサレム」、「スティッフェーリオ」→「アロルド」)を除く。
関連記事
- 2024.3.30朝日新聞 読書面半5段広告 - 2024.04.05