英国のコミュニティ・アートとアーツカウンシル
タンポポとバラの攻防

著者 | 小林 瑠音 著 |
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ジャンル | 文化とまちづくり叢書 |
出版年月日 | 2023/03/30 |
ISBN | 9784880655420 |
判型・ページ数 | A5並製・352ページ |
定価 | 3,850円(本体3,500円+税) |
在庫 | 在庫あり |
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内容説明
貴種のバラではなく、路上のタンポポにも目を向けよ!
コミュニティ・アート・ムーブメントの盛衰を切り取る初の本格書!
特定地域に拠点をかまえ、コミュニティの社会課題に対して積極的に介入しようとする芸術活動、“コミュニティ・アート” は、専門性や作家性を極限まで排除して参加者の自己表現と自己決定権を重んじる社会運動としての意義を持ち、主張する。
本書は、世界的な先駆となった英国のコミュニティ・アート・ムーブメントの全貌を明らかにする本邦初の研究書である。
理念的基軸となるカルチュラル・デモクラシーという概念がどのように具体的な実践の中で変化し、結実していったのか。20世紀の著名な経済学者J.M.ケインズが誕生させた英国アーツカウンシル(英国芸術評議会)はなぜコミュニテイ・アートに積極的な支援を行い、そして突如としてそれを打ち切ったのか、など歴史を丹念に追いながら第二次大戦後から現代アートシーンに至るアート・ムーブメントの謎、その全容を解明する。
【著者】小林 瑠音(こばやし・るね)
芸術文化観光専門職大学講師。大阪大学大学院(修士)。英国ウォーリック大学大学院ヨーロッパ文化政策・マネジメント専攻(修士)。應典院アート・ディレクターを経て神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了(博士)。日本学術振興会特別研究員、神戸大学国際文化学研究推進センター学術研究員、京都芸術大学非常勤講師など歴任。共著に『公共文化施設の公共性̶運営・連携・哲学』(水曜社)
*プロフィールは本書刊行時のものです。
コミュニティ・アート・ムーブメントの盛衰を切り取る初の本格書!
特定地域に拠点をかまえ、コミュニティの社会課題に対して積極的に介入しようとする芸術活動、“コミュニティ・アート” は、専門性や作家性を極限まで排除して参加者の自己表現と自己決定権を重んじる社会運動としての意義を持ち、主張する。
本書は、世界的な先駆となった英国のコミュニティ・アート・ムーブメントの全貌を明らかにする本邦初の研究書である。
理念的基軸となるカルチュラル・デモクラシーという概念がどのように具体的な実践の中で変化し、結実していったのか。20世紀の著名な経済学者J.M.ケインズが誕生させた英国アーツカウンシル(英国芸術評議会)はなぜコミュニテイ・アートに積極的な支援を行い、そして突如としてそれを打ち切ったのか、など歴史を丹念に追いながら第二次大戦後から現代アートシーンに至るアート・ムーブメントの謎、その全容を解明する。
【著者】小林 瑠音(こばやし・るね)
芸術文化観光専門職大学講師。大阪大学大学院(修士)。英国ウォーリック大学大学院ヨーロッパ文化政策・マネジメント専攻(修士)。應典院アート・ディレクターを経て神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了(博士)。日本学術振興会特別研究員、神戸大学国際文化学研究推進センター学術研究員、京都芸術大学非常勤講師など歴任。共著に『公共文化施設の公共性̶運営・連携・哲学』(水曜社)
*プロフィールは本書刊行時のものです。
目次
はじめに:コミュニティ・アートは時代遅れ?
序章
1.再評価される英国コミュニティ・アート
2.社会関与型の芸術への注目
3.カルチュラル・デモクラシーの再検討
4.本書の構成
第Ⅰ部 英国コミュニティ・アート運動
第1章 基本構造と再定義
1.コミュニティとは
2.コミュニティ・アートとは
3.コミュニティ・アートの再定義
第2章 理念的支柱:カルチュラル・デモクラシー
1.カルチュラル・デモクラシーとは
2.レリバンスというキーワード
3.英国内での発展史:3つの起点
4.アニマトゥールとオルタナティブ・シアター
5.国際的潮流としてのカルチュラル・デモクラシー
第3章 歴史的変遷:3つの時代区分
1.創成期(1960年代):カウンター・カルチャーからの萌芽
2.発展期(1670年代):オピニオン・リーダーの登場とコミュニティ・アーティスト協会の活躍
3.収束期(1980年代):財源の枯渇とセオリー志向への転化
4.英国コミュニテイ・アート運動収束の要因:
アクティヴィズムからプラグマティズムへの変容と理論化に対するアレルギー
第4章 ロンドン・イーストエンドのコミュニティ・アート
1.ロンドンのイーストエンドとは:セツルメント運動とアーツ・アンド・クラフツ運動への鉱脈
2.事例1:「ベースメント・プロジェクト」(1972年)
3.事例2:「タワーハムレッツ・アーツ・プロジェクト」(1976年)
4.美術界と行政を巧みに巻き込んだ「質」の問題
第Ⅱ部 英国アーツカウンシルとコミュニティ・アート
第5章 英国アーツカウンシルとは:4人のリーダーにみる50年史
1.トマス・ジョーンズ:「最大多数のための最上級」
2.ジョン・メイナード・ケインズ:「最大多数よりも最上級」
3.ウィリアム・エムリス・ウィリアムズ:「数本でもバラ」
4.ロイ・ショウ:「卓越生(エクセレンス)の普及」
5.1970年代の英国文化政策:「多数のタンポポ」
6.ケインズ・レガシーという自己の楔(くさび)
第6章 コミュニティ・アート政策:5つの転換点と3つの専門グループ
1.5つの転換点
2.3つの専門グループ
3.コミュニティ・アート予算の変遷
4.わずか3年での方向転換:プロセスからプロダクトへ
第7章 コミュニティ・アーティストとの対立
1.事務局長ロイ・ショウによるコミュニティ・アート批判
2.コミュニティ・アーティスト協会によるアーツカウンシル批判
3.ロイ・ショウの政策的理念:教養主義的成人教育
4.半独立機関としての本音:アームズ・レングスのジレンマ
5.終わりなき対立:文化の民主化 vs カルチュラル・デモクラシー
終章
1.文化政策に身を投じたコミュニティ・アーティストたちの葛藤
2.批判的論点の再考
3.「最終的な成果物(プロダクト)」から「過程(プロセス)」へ
4.レリバンスの功罪
5.英国文化政策への新たな視座
おわりに:トロイの木馬の残像ーアウトリーチへの継承
年表「1940年代から1980年代のコミュニティ・アート運動と英国アーツカウンシル」
謝辞
参考文献
索引
序章
1.再評価される英国コミュニティ・アート
2.社会関与型の芸術への注目
3.カルチュラル・デモクラシーの再検討
4.本書の構成
第Ⅰ部 英国コミュニティ・アート運動
第1章 基本構造と再定義
1.コミュニティとは
2.コミュニティ・アートとは
3.コミュニティ・アートの再定義
第2章 理念的支柱:カルチュラル・デモクラシー
1.カルチュラル・デモクラシーとは
2.レリバンスというキーワード
3.英国内での発展史:3つの起点
4.アニマトゥールとオルタナティブ・シアター
5.国際的潮流としてのカルチュラル・デモクラシー
第3章 歴史的変遷:3つの時代区分
1.創成期(1960年代):カウンター・カルチャーからの萌芽
2.発展期(1670年代):オピニオン・リーダーの登場とコミュニティ・アーティスト協会の活躍
3.収束期(1980年代):財源の枯渇とセオリー志向への転化
4.英国コミュニテイ・アート運動収束の要因:
アクティヴィズムからプラグマティズムへの変容と理論化に対するアレルギー
第4章 ロンドン・イーストエンドのコミュニティ・アート
1.ロンドンのイーストエンドとは:セツルメント運動とアーツ・アンド・クラフツ運動への鉱脈
2.事例1:「ベースメント・プロジェクト」(1972年)
3.事例2:「タワーハムレッツ・アーツ・プロジェクト」(1976年)
4.美術界と行政を巧みに巻き込んだ「質」の問題
第Ⅱ部 英国アーツカウンシルとコミュニティ・アート
第5章 英国アーツカウンシルとは:4人のリーダーにみる50年史
1.トマス・ジョーンズ:「最大多数のための最上級」
2.ジョン・メイナード・ケインズ:「最大多数よりも最上級」
3.ウィリアム・エムリス・ウィリアムズ:「数本でもバラ」
4.ロイ・ショウ:「卓越生(エクセレンス)の普及」
5.1970年代の英国文化政策:「多数のタンポポ」
6.ケインズ・レガシーという自己の楔(くさび)
第6章 コミュニティ・アート政策:5つの転換点と3つの専門グループ
1.5つの転換点
2.3つの専門グループ
3.コミュニティ・アート予算の変遷
4.わずか3年での方向転換:プロセスからプロダクトへ
第7章 コミュニティ・アーティストとの対立
1.事務局長ロイ・ショウによるコミュニティ・アート批判
2.コミュニティ・アーティスト協会によるアーツカウンシル批判
3.ロイ・ショウの政策的理念:教養主義的成人教育
4.半独立機関としての本音:アームズ・レングスのジレンマ
5.終わりなき対立:文化の民主化 vs カルチュラル・デモクラシー
終章
1.文化政策に身を投じたコミュニティ・アーティストたちの葛藤
2.批判的論点の再考
3.「最終的な成果物(プロダクト)」から「過程(プロセス)」へ
4.レリバンスの功罪
5.英国文化政策への新たな視座
おわりに:トロイの木馬の残像ーアウトリーチへの継承
年表「1940年代から1980年代のコミュニティ・アート運動と英国アーツカウンシル」
謝辞
参考文献
索引
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