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社会包摂のためのアートプログラム入門  新刊

クリエイティブな活動がひらく健康・ウェルビーイング

内容説明

アートが “人々” の中に入っていくことで、皆の意識を変え社会を変えることが可能となる。社会的孤立・排除に対抗する社会包摂のためのアートプログラム(APS)を提案する。

アートは弱者を社会的排除から救えるか? 
筆者は、社会包摂政策の先進国・イギリスのアーツ&ヘルス政策を学び、参加型アートプロジェクトが社会へもたらす効果を研究。バーミンガム子ども病院では、思春期の患者らを対象にしたアーツ・イン・ホスピタルにボランティアとして参加するなど実践を重ね、日本国内ではプログラムの企画者としても取り組んだ。その成果を、参加者全員の行動変容をもたらす「次世代ユニバーサルイベント」として考案、提唱する。

【著者】
野呂田理恵子(のろた・りえこ)
女子美術大学芸術学部准教授。東京藝術大学大学院修了、環境デザイナーを経て渡英。バーミンガム・シティ大学大学院アート・健康とウェルビーイング(Art, Health and Well-being)研究科修了。美術博士。多様な人々が共に受け入れ合う経験を重ね、健康な共生社会づくりを目指す「社会包摂のためのアートプログラム」と「ファシリテーション」の実践研究を行う。日本デザイン学会会員、アートミーツケア学会理事、特定非営利活動法人エイブル・アート・ジャパン理事。著書に『まちと・アートと・場づくりと—こくぶんじアートラボ・プロジェクトの実践から』(共著、学術研究出版)。
*プロフィールは本書刊行時のものです。

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目次

第1章 美術館のワークショップと社会関係構築
1-1 先導者となった美術館
1-2 なぜ美術館がワークショップを行うのか

第2章 イギリスのアーツ&ヘルス
2-1 社会的排除とは何か
2-2 フランス政府の排除との闘いとEUへの影響
2-3 社会包摂政策とマタラッソによる「50の効果」
2-4 参加型アートプロジェクトの源流
2-5 社会包摂政策とアーツ&ヘルス
2-6 アーツ&ヘルス政策の進展
2-7 アーツ&ヘルス分野での概念の定着

第3章 日本の社会包摂と文化芸術のアウトリーチ―医療施設を事例に
3-1 文化芸術による社会包摂
3-2 社会包摂とアウトリーチ
3-3 医療・福祉施設へのアウトリーチがもたらす効果

第4章 イギリスのアーツ・イン・ホスピタル
4-1 バーミンガムこども病院のアートプログラム
4-2 思春期患者のためのアートプログラム[ギャラリー37]
4-3 アートプログラムを提供する人々の条件と役割
4-4 心理的な溝をなくすための4つのポイント
4-5 思春期の患者たちの「ファミリーデー」アートプログラム
4-6 ファシリテーターに求められる姿勢・条件・技術
4-7 アーティストに求められる条件・技術

第5章 アートプログラムの効果―小児病棟での試み
5-1 実践者による観察
5-2 分析フローの全体像
5-3 APSによってもたらされ得る効果
5-4 プログラムの実施と参与観察
5-5 ダイアリーの記述と効果
5-6 ダイアリーから効果票への抽出
5-7 参加者たちの経験の分析・考察
5-8 ファシリテーション力向上との関係

第6章 アートプログラムと評価方法―壁面アートプロジェクト
6-1 ウェルビーイングへの5つの方法
6-2 うさぎさんのおうち壁面アートプロジェクト
6-3 プロジェクトの評価
6-4 APSと受動型アートの違い

第7章 次世代ユニバーサルアートイベント:9+3+3
7-1 アートプログラムで期待すること
7-2 一般的なワークショップとの比較
7-3 「しかけ」の抽出及び構造化
7-4 事後アンケートから導き出された3つのききめ

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