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市川崑のタイポグラフィ

「犬神家の一族」の明朝体研究

市川崑のタイポグラフィ

L字型極太明朝体の表現は何を指し示しているのか。 「犬神家の一族」を中心とし作品を材料に切り込む

著者 小谷 充
ジャンル アート・カルチャー > 映画
出版年月日 2010/07/29
ISBN 9784880652405
判型・ページ数 並製240ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

エヴァも、任三郎も、はじまりは犬神家だった。
図版点数150点、映像画面225コマ
ヴィジュアル資料をもとに検証する
市川明朝、初の研究書。

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」
ドラマ「古畑任三郎」
CM「資生堂TSUBAKI」など
後世の映像領域に多大な影響を与えた映画「犬神家の一族」の明朝体表現。
その手法はテロップ表現の古典的スタイルになろうとしているのに、
映画評論、デザイン評論の両分野で詳細が語られることはほとんどなかった。
あの、L字型配置の特太巨大な明朝体が指し示すものは何か。
コンセプト、技術、歴史、さらに社会的背景が解きほぐされ、
タイポグラフィの深みが今、たちあらわれる。

【著者プロフィール】
小谷 充(こたに・みつる)1968(昭和43)年、岡山県生まれ。島根大学大学院教育学研究科准教授。 筑波大学大学院芸術研究科修了後、雑誌のデザインを主とする制作会社に勤務。 のちにコンピュータ初心者向け雑誌のデザインを中心に出版物のフォーマット設計を担当。 NEC社製コンピュータ解説書「活用ブック」(日本マニュアルコンテスト2004優良賞)のデザイン ほか、 「第六回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2000(富山県立近代美術館)」 「大地の芸術祭─越後妻有アートトリエンナーレ2003(新潟県)」への出品など。
*プロフィールは本書刊行時のものです。

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目次

序章 「犬神家の一族」の周辺
 市川崑タイポグラフィの影響/七〇年代の金田一耕助ブーム/問題のありか/明朝体の系譜

第1章 市川崑明朝体の正体
 金田一耕助の推理/「犬神家の一族」明朝体の条件/書体のウエイトと容疑者たち/金属活字の時代/写真植字とは何か/容疑者たちの素性/エッジの処理と印刷適正/髭あり書体と髭なし書体/手形あわせと共犯者/混植組版の理由/事後共犯はミスか/市川崑の姓名/井上刑事が指し示す真実/書体に託した意味/『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』/市川崑明朝体の正体/市川崑の関与

第2章 市川崑明朝体のレイアウト
 レイアウトの分析手法/出版物のフォーマット/レイアウトグリッドの機能/映像のなかの文字/『犬神家の一族』の特殊な画面比/四種類のレイアウトグリッド/気配りのレイアウト/グリッドの変遷とその理由/縦組横組のレイアウトパターン/L型配置の変化/市川崑がめざしたもの/『病院坂の首縊りの家』

第3章 市川崑タイポグラフィの作法
 市川崑の作法/映画の文字の目的指向性/市川崑作品の書体分類と題字/特太の明朝体とにじみの作法/巨大明朝体の作法/小道具の新聞作法/読書行為を暗示する作法/L型配置の作法/極小題字の作法/タイプフェイスの導入/見出明朝体とL型配置の融合/混植と変形の作法/ゴシック系書体の作法/レイアウトグリッドの作法/「記録か芸術か」騒動とその後

第4章 市川崑の明朝体表現と日本再発見
 「ルパン三世」のタイプライター表現/ディスカバージャパンの時代性/『木枯し紋次郎』と『股旅』/デザインのジャポニズム/ジャパン・タイポグラフィへ/『犬神家の一族』への結実

最終章 市川崑明朝体のその後
 市川崑タイポグラフィの展開/絵画的キャプションの応用/映像と文字が共鳴するクレジット/衰退する写真植字と『どら平太』/リメイク版『犬神家の一族』へ


参考文献一覧
あとがき

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