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経営理念を活かしたグローバル創造経営

現地に根付く日系企業の挑戦

経営理念を活かしたグローバル創造経営

日本企業の中国現地での経営方策と経営理念を事例を紹介し、わが国の企業経営 の21 世紀モデルを捉え直す

著者 井手 芳美
ジャンル 社会
出版年月日 2017/09/01
ISBN 9784880654270
判型・ページ数 A5並製・200ページ
定価 3,080円(本体2,800円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

グローバル化と経営革新が進む中、重要視されるべきは変革を担う人材である。多様な文化や価値観を有する彼らの能力を、最大限活かすためには経営の核心を明示化し、価値共有を図ることが不可欠となる。創造的経営とは日本的経営の本質と限界を捉えつつ、価値共有の土台に経営理念を据え、グローバル化時代を生き抜くための創意的な経営と、人づくりに重点を置いた持続可能な経営を示す。

本書では「日本的経営」「経営理念」「グローバル経営」「創造的経営」という4 つのキーワードを軸に日本企業が中国現地においてどのような経営方策を取り、経営理念を具現化をして行く過程を事例に、わが国の企業経営の21 世紀モデルを捉え直すための最新刊。

【著者】井手芳美(いで・よしみ)
オフィスヒューマンブリッジ代表研修講師(組織コミュニケーション、コーチングなど)名古屋学院大学専門研究員。東邦大学非常勤講師。1998 年愛知大学経済学部Ⅱ部経済学科卒業。在学中に中国天津南開大学へ公費留学。2002 年─2006 年、中国上海日系コンサルティング会社駐在員。『地域創生の産業システム』(十名直喜編)第6章を執筆。
*プロフィールは本書刊行時の物です。

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目次

まえがき

序章 経営理念をグローバルに活かす創造的経営
 ─中国日系企業にみる創意的な経営と人づくりに学ぶ

1.今、なぜ経営理念がグローバルに問われるのか
 1.1 グローバル視点から日本的経営を問い直す
 1.2 中国で問われる日系企業の経営のあり方
 1.3 経営理念と「創造的経営」への視座
2.「創造的経営」の基本視点と骨組み
 2.1 日本的経営の原点とグローバル展開─本書のねらいと構成
 2.2 経営理念と現地現場に活かす思想と展開モデルの骨組み

第1章 経営理念の進化とグローバル化
 ─トヨタの事例を中心にして
1.はじめに
2.経営理念へのグローバルアプローチ
 2.1 経営理念の意義
 2.2 経営理念とは何か
3.トヨタにみるグローバル化と経営理念の史的展開
 3.1 トヨタのイノベーションと経営理念
 3.2 経営理念と新次元化─国際社会に信頼される企業市民
 3.3 地域にねざしたグローバル経営─グローカル化に向けて
 3.4 チームワーク重視の問題
4. トヨタ経営にみる経営理念の位置づけ
 4.1 第二次世界大戦後の経営危機による労働争議
 4.2 世界に通用する経営理念を制定
 4.3トヨタ再出発の日
5.グローバル戦略にみる日本的経営と経営理念の位置づけ
 5.1 日本的経営と経営理念の位置づけ
 5.2 グローバル戦略にみる経営理念・経営戦略・経営計画の関係性
6. おわりに

第2章 グローバル視点からみる日本的経営の特徴と課題
 ─米国・中国への現地展開の比較をふまえて
1.はじめに
2.日本的経営にみる評価の変遷
 2.1 1950年代後半〜1970年代の日本的経営の評価
 2.2 中根による「場の共有」論
 2.3 島田による日本的経営の普遍性論
 2.4 十名による人的役割論
 2.5 野中・竹内による日本的経営の再評価としての『知識創造企業』
 2.6 荒川による中国日系企業への適用モデル論
3.日本的経営の長所と短所
 3.1 日本的経営による長所
 3.2 日本的経営による短所
 3.3 日本的経営の課題
4. 日本的経営の米国展開への挑戦
 4.1 トヨタの米国展開への挑戦
 4.2 米国現地経営にみる光の側面
 4.3 米国現地経営にみる影の側面
5.日本的経営の中国展開と課題
 5.1 東芝にみる中国展開への事例
 5.2 中国現地経営にみる光の側面
 5.3 中国現地経営にみる影の側面
6. グローバル視点からみた日本的経営の強みと弱み
 ─特徴と課題へのアプローチ
 6.1 現場労働者管理にみる日本的経営の強み
 6.2 ホワイトカラー管理にみる日本的経営の弱み
7.おわりに

第3章 日本的経営の先駆的な理念とモデル
 ─信用重視型経営理念の源流と融合的展開
1.はじめに
2.グローバル感覚を備えた渋沢栄一の生涯
 2.1 幼少期・青少年期の儒教の学びによる人格形成
 2.2 ヨーロッパ視察の好機
 2.3 合本主義の実現
3.渋沢栄一にみる人づくりと信用の源流
 3.1 日本における経営理念の変遷
 3.2 信用づくり
 3.3 『義』と『利』の表裏一体
 3.4 渋沢栄一と人づくり
4. 森村市左衛門の経営モデル
 4.1 「独立自営」の森村組 
 4.2 森村組精神とは何か
 4.3 信用と事業の公益性
 4.4 率先垂範で社員に教育
 4.5 渋沢栄一と森村市左衛門の経営理念にみる共通点と相違点
   ─渋沢栄一の「拡大」経営と森村市左衛門の「深掘」経営
5.IBMにみる経営理念の変革
 5.1 IBMの誕生
 5.2 ワトソン・シニア、ジュニア父子の経営モデル
 5.3 巨額の損失とガースナー変革
 5.4 パルサミーノ変革
 5.5 IBMの経営理念にみる「守・破・離」の展開
 5.6 総括─渋沢栄一・森村市左衛門・IBMにみる日本的経営とは
6. おわりに

第4章 中国改革開放以降の工業化にみる労働環境の変容と課題
 ─英・日・中の歴史的比較視点をふまえて
1.はじめに
2.工業化にみる英・日・中労働環境の変容比較
 2.1 イギリスの工業化にみる労働事情
 2.2 日本の工業化にみる労働事情
 2.3 中国の工業化にみる労働事情
 2.4 英・日・中の労働環境の変容にみる比較分析
3.中国出稼ぎ労働者の現状と課題
 3.1 農村部と都市部の格差拡大と戸籍問題
 3.2 中国出稼ぎ労働者の実態
 3.3 沿海都市部での労働者不足と賃金上昇
4.中国「労働契約法」にみる現状と課題
 4.1 中国「労働法」の変遷
 4.2 中国「労働契約法」制定の背景
 4.3 中国「労働契約法」の概要
 4.4 中国「労働契約法」にみる意義と限界
5.おわりに

第5章 日系企業にみる中国現地経営の現状と課題
 ─自動車部品メーカーの調査をふまえて
1.はじめに
2.先行研究にみる中国現地経営の課題
 2.1 1990年代後半の先行研究にみる課題
 2.2 2000年〜2010年までの先行研究にみる課題
 2.3 2011年以降の先行研究にみる課題
3.日系企業の工場経営にみる労働倫理の課題
 3.1 中国日系企業にみる進出の推移
 3.2 日系自動車部品メーカーの概要
 3.3 中国現地法人の労務管理面にみる現状と課題
 3.4 人間重視の工場経営
4.日中における企業倫理の原点と課題
 4.1 日中にみる経営思想の原点回帰とそのインパクト
 4.2 中国にみる企業倫理の新たな潮流
 4.3 企業倫理と経営理念に基づく人づくり
5.おわりに

第6章 中国の日系企業にみる経営理念の具現化
 ─ハウス食品(上海)の創造的モデルに学ぶ
1.はじめに
2.ハウス食品にみる経営理念の史的展開
 2.1 ハウス食品のあゆみ
 2.2 創業者の熱い思いを込めたハウス食品の経営理念
 2.3 経営理念をベースとした行動指針「ハウス食品の意(こころ)」の明示化
3.経営理念を現地に活かすアプローチ
 ─日系企業の現地総経理経験者へのヒアリングをふまえて
 3.1 ハウス食品の中国上海進出
 3.2 中国における経営理念の浸透
 3.3 工場見学で「開かれた経営」─企業市民化
 3.4 地域密着型の営業戦略─グローカル化
 3.5 中国にみる創業者理念の開花
4.経営理念を現場に活かすアプローチ
 4.1 人間尊重・平等主義の友好化
 4.2 やる気を引き出すための個別化
 4.3 円滑なコミュニケーションによる信頼関係の構築─オープン化
 4.5 品質管理にみる課題と今後の展開
5.おわりに

終章 経営理念をグローバルに活かすモデルの創造
 ─具現化から普遍化への展開と課題
1.変化の時代を生き抜く
2.経営理念をグローバルに活かすプロセス
 ─「骨組み」・「具現化」・「普遍化」への展開
3.現地現場に活かす基本モデルの骨組み
4.現地現場に浸透させる具現化モデル
5.現地現場に活かす展開モデルの普遍化と思想
6.残された課題とは何か
 6.1 実践モデルの更なる検証と追及
 6.2 日系企業の残された加地アへの継続的研究
 6.3 経営理念のより広範囲な比較分析と掘り下げ
 6.4 日本的経営論の体系化と21世紀モデルの創造

参考文献
あとがき
索引

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