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ローカルコンテンツと地域再生

観光創出から産業振興へ

ローカルコンテンツと地域再生
著者 増淵 敏之
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2018/09/25
ISBN 9784880654515
判型・ページ数 A5並製・240ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

東京との「格差」を縮め、グローバルとの「距離」を超える。
コンテンツという文脈で、ローカルの観光と産業を包括的に捉える。

 アニメの「聖地巡礼」が流行語になったり、北海道発のコンテンツ『水曜どうでしょう』が全国区の話題にもなった。つまりローカル発のコンテンツが全国規模で展開できる可能性を持ち始めている。そしてそのトレンドを、デジタル技術が後押ししている。デジタルは誰でも情報の発信が可能になるという新たなスキームを具現化させ、東京一極集中の「地域格差」を縮め、配信の「距離格差」も縮めて、コンテンツのグローバル向け発信を可能にした。つまりはコンテンツがローカルの未来を変えるポテンシャルを持ち始めたのだ。

 本書で注目するのはマンガ、アニメ、映画、ドラマ、小説などの作品を軸に、コンテンツを活用した観光創出と産業振興である。これまでコンテンツに関しては観光、産業、いずれかに立脚した研究が多かったが、本書ではその両方を包括した形での地域振興策を提案する。コンテンツ産業はローカルの未来を救いうるだろうか。

【著者】増淵敏之(まずぶち・としゆき)
法政大学大学院政策創造研究科教授。専門は文化地理学、経済地理学。コンテンツツーリズム学会会長、文化経済学会〈日本〉副会長。希望郷いわて文化大使、小田原市政策戦略アドバイザーなど。1957年札幌市生まれ、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、学術博士。著書に『物語を旅するひとびと』(彩流社, 2010)『欲望の音楽』(法政大学出版局, 2010)『路地裏が文化を生む!』(青弓社, 2012)『おにぎりと日本人』(洋泉社, 2017)など。
*プロフィールは本書刊行時の物です。

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目次

第1章 地域が抱える現状と課題
1.地域格差と「地方創世」
2.「地方創生」に関する議論
3.人口減少、少子高齢化
4.集客事業としてのコンテンツツーリズム
5.地域でのコンテンツ産業振興
6.集客と定住の両立可能性

第2章 コンテンツツーリズム
1.コンテンツツーリズムのこれまで
・定義と研究の系譜
・再定義の必要性
2.一般認知が進むコンテンツツーリズム
3.国の政策
・クールジャパン政策によるコンテンツの輸出
・クールジャパン政策に関するさまざまな論点
4. コンテンツツーリズムを巡る行政の積極的展開
・アニメツーリズムと地域振興
・フィルムツーリズムと地域振興
5.コンテンツ産業サイドの対応
6.インバウンドの可能性
7.『君の名は。』のインパクト
・『君の名は。』の成功
・オーバーユースの問題
8. 表現の自由
9. コンテンツツーリズムと拡張現実
10.アニメとプロダクトプレイスメント
・プロダクトプレイスメントとは?
・「食文化」とプロダクトプレイスメント
11.広義のプロダクトプレイスメント
12.物語戦略

第3章 コンテンツ産業の地域分散
1.コンテンツ産業の定義
2.コンテンツ産業の特徴
3.東京への産業集中プロセス
4.日本のコンテンツ産業の現状

第4章 ローカルの独自カルチャー
1.独自カルチャーの確認
2.独自カルチャーの希釈という現実
3.「場」の創出
4.コンテンツ産業の黎明期
5.ローカルでのコンテンツ産業の胎動期
6.中小ローカル都市での動き
7.バブル期以降
8.放送局の果たす役割
9.韓国のコンテンツ産業政策
・政策策定の伏線
・DMCでの産業集積

第5章 コンテンツ産業の創出
1.『初音ミク』
2.『水曜どうでしょう』
3.『妖怪ウォッチ』
4.『花咲くいろは』
・P. A. WORKS
・盛んになったローカル拠点形成
5.「マンガによる地域振興」
・『コミックいわて』
・ローカルの動き
6.地域映画の台頭
7.ローカル出版社の模索
8.デザインの形
・ローカルデザイン
・デザイン概念の拡張

第6章 ローカルからの逆襲
1.札幌『札幌乙女ごはん。』
2.南魚沼『美女旅』
3.岩見沢『氷室冴子青春文学賞』

終章 コンテンツ産業はローカルを救うか

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