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文化政策学入門

文化政策学入門

基本概念を解説するのみではなく、文化政策の現実態と論点を整理、実学視点から体系化を試みた初の文化政策学の入門書

著者 根木 昭
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2010/03/21
ISBN 9784880652306
判型・ページ数 186ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

文化芸術について文化経済学、文化経営学の観点からの研究はすでに1990年代から始まっていた。
しかし政策学からの研究はようやく2000年前後からである。
本書は、これから文化政策学を学ぶ方はもちろん、「文化政策学」の全容を整理し直そうとする研究者にとっても必読の1冊。
入門書でありながら、我が国文化政策の現実態を水平把握し論点を整理、“実学”視点から体系化を試みた、著者の集大成である。

【著者】根木 昭(ねき・あきら)
東京藝術大学教授長岡技術科学大学名誉教授、法学博士。専攻は文化政策論。旧文部省各局、文化庁(宗務課長、芸術課長、文化普及課長)、長岡技術科学大学教授をへて2003年から現職。
*プロフィールは本書刊行時のものです。

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目次

はじめに

序 章 文化政策学の体系と本書の構成
1.文化政策学の体系
 文化政策学確立への期待
 文化政策学体系化の視点
 文化政策学の枠組み
2.文化経済学、文化経営学(アートマネジメント論)との異同
 文化経済学
 文化経営学(アートマネジメント論)
 3分野の相互関係
3.本書の構成と趣旨
 本書の構成
 本書の趣旨
 巻末の参考資料と既往の著書・論文

第1章文化政策の基本方向
1.国際的水準の芸術文化と多様性のある地域文化の振興
 ー日本文化形成の歴史的過程と地理的展開から見てー
 文化形成の歴史的ダイナミズム
 日本文化の地理的展開
 国際的水準の達成と国内的均衡・多様化の推進
2.現代文化の創造・発展と伝統文化の保存・継承
 ー普遍化と個性化の調和・均衡ー
 欧米化主義と伝統回帰
 普遍化と個性化と二面性
 両者の調和と均衡
3.文教政策の一環としての文化政策
 ー教育政策との相関ー
 戦後敷かれた路線
 文化政策と教育政策の分離論
 教育との関係の強化の必要性
4.文化政策の主体と民間との相互連携
 ー文化に関わる主体の多元性を踏まえてー
 文化政策の主体
 民間の文化芸術の支援等への関わり
 相互の連携協力の必要性
5.内容不関与の原則と文化政策形成過程の洗練
 ー適正手続きによる担保と政策形成における課題ー
 内容不関与の原則
 給付行政と内容不関与の担保
 文化政策形成過程の洗練
6.総合文化政策の確立
 ー明確化と総合化に向けてー
 明確化の必要性
 総合化の必要性
 総合文化政策の確立に向けて

第2章 文化政策の基礎概念
1.文化政策の意義
 狭義の文化政策と広義の文化政策
 政策対象としての文化の範囲
 文化政策と文化行政
2.文化政策の形成過程と評価及び文化行政過程
 文化政策の形成過程
 文化政策の評価
 文化行政過程
3.文化政策の対象領域
 5領域と相互の関連
 「文化の振興と普及」と「文化財の保護」
 その他の3領域
4.文化政策の機能
 5機能と対象領域との相関
 「文化の頂点の伸長」と「文化の裾野の拡大」
 その他の3機能
5.文化政策の発現形態とアートマネジメント
 文化政策の3つの発現形態
 アートマネジメントの概念とその機能
 発現形態とアートマネジメントの交錯
6.文化行政の二重構造
 給付行政と規制行政
 給付行政の特性
 給付行政を中心とする文化行政

第3章 文化政策の基本理念
1.文化芸術振興の意義ー文化審議会答申等からー
 「民間藝術活動の振興に関する検討会議」の報告
 文化審議会の「2002年答申」
 文化芸術振興基本法、第1次基本方針と2002年答申との関係
2.文化芸術の役割・意義ー文化芸術振興基本法前文と第1次基本方針ー
 文化芸術の役割(本質面)
 文化芸術の役割(効用面)
 文化芸術の意義
3.文化芸術創造享受権ー憲法との関係ー
 憲法第13条に由来する文化芸術創造享受権
 憲法第25条との関係
 文化芸術の社会的財産性の公共性
4.文化芸術振興の基本理念ー文化芸術振興基本法第2条ー
 最も基底におかれる概念
 文化政策の方向性を示す理念
 基本理念の構造
5.文化政策の理念・目的・目標ー実定法を基礎にー
 文化政策の概念
 文化政策の目的と目標
 「文化」と「文化芸術」

第4章 文化法制と文化予算
1.文化法制
 文化に関わる基本法制
 行政組織法の中の文化法制
 文化に関わる個別法制
 地方公共団体の文化法制
2.文化予算
 国・文部科学省予算と文化庁予算
 文化庁予算の構造
 地方公共団体の文化関係経費
 民間のメセナ活動
 民間も含む新たな支援の枠組みの構築

第5章 芸術文化振興論
1.芸術文化政策の意義と性格
 芸術文化政策の意義
 芸術文化政策の性格
2.芸術文化政策の構造
 芸術文化政策の理念・目的・目標
 芸術文化政策の体系
3.基本的な論点
 「頂点の伸長」と「裾野の拡大」の相克と相互補完
 「パラダイムの転換」論

第6章 文化財保護論
1.文化財政策の意義と性格
 文化財政策の意義
 文化財政策の性格
2.文化財政策の構造
 文化財政策の理念・目的・目標
 文化財政策の体系
3.基本的な論点
 「文化財」と「文化遺産」
 無形文化財における「保存・継承」「創造・発展」

第7章 文化施設運営論
1.設置者行政
 意義と構造
 運営の形態
 理念・目的・目標と効率性・経済性
2.文化施設の性格
 営造物と公の施設
 「公の施設」概念による認識の変化と劇場・ホール
 「施設」から「機関」へ
3.文化政策(行政)と社会教育政策(行政)の交錯
 「文教」政策における美術館・博物館の位置付け
 劇場・ホールと公民館
 両政策(行政)の連絡の必要性

第8章 地域文化振興論
1.地域文化政策の意義と性格
 地域文化政策の意義
 地域文化政策の性格
2.政策主体と活動主体
 政策主体の多様性
 活動主体の多元性
3.基本的な論点
 国の役割と限界
 「創造都市論」との関係

第9章 国際文化交流論
1.国際文化交流論の意義と性格
 国際文化交流政策の意義
 国際文化交流政策の性格
2.国際文化交流政策の構造
 国際文化交流政策の趣旨・内容
 国際文化交流政策の体系
3.基本的な論点 
 日本文化の発信
 文化財に係る国際的な枠組みへの対応

参考資料
参考文献

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