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地域創生の産業システム

もの ・ ひと ・ まちづくりの技と文化

地域創生の産業システム

ものづくり・ひとづくり・まちづくりを三位一体と考え、産業地域の多様な現場ニーズを深く捉え、地域創生に活かす

著者 十名 直喜 編著
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2015/03/01
ISBN 9784880653532
判型・ページ数 A5並製・230ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

産業にかかわる人々の働き方や生き方、そこで培われた伝統などの文化的側面を重要視したこれからの日本産業論。

産業は、労働・生活と深く関わり、誰もが体験し接する社会的な営みであり、その動向は人々の将来をも左右する。それゆえ産業論は、普遍的な学問と言われる。しかし、これまでの産業論は、第一次産業(農林水産業等)、第二次産業(製造業・建設業等)、第三次産業(サービス業・金融業等)の3分類に基づき、ものを中心としてサービスも含めた、生産・供給の機能的側面を重視してきたため、人々が職場や地域で織りなす生き方や、技術の伝承など文化的な側面は対象外とされてきた。
本書は「ものづくり・ひとづくり・まちづくり」を三位一体と考え、産業地域の多様な現場ニーズを深く捉え、地域創生に応える日本発のオリジナル産業システム論である。

【編著】十名 直喜(とな・なおき)
1948年生まれ。名古屋学院大学教授。(株)神戸鉄鋼所勤務を経て、1992年名古屋学院大学経済学部助教授、1994円に京都大学博士(経済学)、 1997年に名古屋学院大学経済学部・大学院経済経営研究科教授。2015年4月より、名古屋学院大学現代社会学部教授。
*プロフィールは本書刊行時のものです。

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目次

はしがき(十名直喜)

序 章 21世紀型産業システムへの視座
  ー持続可能な循環型発展モデルの創造に向けてー(十名直喜)
1 はじめに
2 20世紀型産業システムをどう捉えるか
  2.1 100年の大計に適う21世紀型システムの構想・設計
  2.2 20世紀型産業システムの歴史的把握
  2.3 日本型産業システムにみる問題の顕在化
  2.4 21世紀型産業システムの創造に向けて
3 産業システムをとらえ直すー「現代産業論」の講義と研究のあゆみー
  3.1 産業システムアプローチ
  3.2 産業の基盤・土台への視座
  3.3 産業システムの新たな視点と枠組み
4 21世紀に適う産業システムの創造
  4.1 3世代協働のハイブリッドモデル
  4.2 現代産業を捉え直す
  4.3 21世紀型産業システムの5つの柱
5 本書の構成と各章のポイント
  5.1 本書の構成
  5.2 各章のポイント

第1部 ものづくり産業の技術と経営
第1章 素形材産業と基盤的技術(納富義宝)
1 はじめに
2 転換期における素形材産業
  2.1 素形材産業の概念と産業構造
  2.2 素形材産業の重要性
  2.3 素形材産業を取り巻く外部環境の変化
  2.4 鋳造業にみる高い専業比率と古い企業群
3 素形材産業の技術と変容
  3.1 古くて新しい技術
  3.2 変わるものづくり現場
  3.3 3Dプリンターの定義と概念
4 素形材産業に内在する問題と課題
  4.1 産業集積地と衰退と展望
  4.2 主要産業にみる構造変化と素形材産業の対応
  4.3 「取引慣行」の見直しと新たな課題の出現
  4.4 縮小する銑鉄鋳物業
5 伝統技術の新たな展開
  5.1 職人技が切り開く地場産業
  5.2 伝統技術は世界に向かう
  5.3 柔軟な対応で消費者の心をつかむ
  5.4 地球環境にやさしい鋳物づくり
6 おわりに
 
第2章 自動車産業の技術とアウトソーシング(太田信義)
1 はじめに
2 自動車の現状
  2.1 世界での位置ー保有・生産台数などー
  2.2 日本での位置ー就業人口、輸出競争力などー
3 自動車産業の構造とその特徴
  3.1  ヒエラルキーな産業構造
  3.2  車両全体と各部品の関係
4 自動車における技術とその特徴
  4.1  安全・環境・快適技術の進化
  4.2 技術アウトソーシングの活用とその状況
5 設計の3次元化と製品開発へのインパクト
  5.1 3次元CADと開発効率の促進
  5.2  3次元CADシステムと設計プロセスの変化
6 技術アウトソーシングと日本型システムの課題
  6.1 設計の流れと技術アウトソーシングの役割変化
  6.2 3次元CAD活用の日本型システムと課題
7 おわりに

第3章 工作機械産業の技術と経営(藤田泰正)
1 はじめに
2 工作機械産業の形成と発展
  2.1 ヨーロッパにおける発展
  2.2 アメリカにおける発展
  2.3 日本における発展
3 日本の工作機械産業にみる経営と技術
  3.1 世界の位置
  3.2 市場と顧客
  3.3 企業と経営
  3.4 技術と強さ
4 市場と技術の構造変化とイノベーション
  4.1 新興国とグローバル化
  4.2 技術と市場の複合化
  4.3 新たなイノベーション
  4.4 持続可能な社会システム
5 おわりに


第2部 グローバル経営とひとづくり―中国市場への視座
第4章 中国巨大市場と日本企業の新たな展開(庵原孝文)
1 はじめに
2 「2つの罠」に直面する巨大市場
3 中国の対外経済開放政策と雁行型経済発展への展望
4 日本企業の14億人市場への新たな展開
  4.1 販売体制の確立・強化に向けて
  4.2 中国市場開拓の動向
  4.3 環境に関わる産業の動向
  4.4 省力化産業の動向
  4.5 ネット通信販売産業の動向
  4.6 「中国の直面する課題」はビジネスチャンス
5 おわりにー「21世紀はアジアの時代」にむけてー

第5章 中国日系企業の経営改革と人間発達
   ー「技」「才」「徳」を兼ね備えた経営リーダーづくりー(程 永帥)
1 はじめに
2 中国企業の経営と変革課題ー中国的「徳」への視座ー
  2.1 中国伝統文化における「徳」と「才」の関係
  2.2 中国の国有企業経営の課題
3 中国における日系企業の経営方式と課題
  3.1  中国市場の特色
  3.2  「日本型経営」の課題
4 日本的「技」と欧米的「才」へのアプローチ
5 中・日・欧のハイブリッド経営
  ー中国的「徳」・日本的「技」・欧米的「才」の三位一体化ー
6 中国における企業経営のあり方
  ー日系企業の経営現地化への提言ー
7 おわりに


第6章 日本企業のグローバル化と経営理念の創造的展開(井手芳美)
1 はじめに
2 NUMMI(トヨタ・GM合弁会社)の経営にみる光と影
  2.1 NUMMI 経営にみる光の側面
  2.2 NUMMI 経営にみる影の側面
3 東芝大連社(東芝大連有限公司)の経営にみる光と影
  3.1 東芝大連社経営にみる光の側面
  3.2 東芝大連社経営にみる影の側面
4 トヨタにみるグローバル化と経営理念の史的展開
  4.1 人的資源と経営理念
  4.2 トヨタのイノベーションと経営理念
  4.3 経営理念の新次元化ー国際社会に信頼される企業市民ー
  4.4 地域に根ざしたグローバル経営ーグローカル化に向けてー
  4.5 チームワーク重視の課題
5 東芝にみる経営理念重視へのシフトとグローバル化
  5.1 東芝における経営理念のはじまり
  5.2 創業100年を機に経営理念の明確化
  5.3 経営理念に基づく東芝グループのグローバルな価値統一
  5.4 人間尊重の理念と課題
6 おわりに

第3部 地域産業とまちづくり
第7章 地域産業と企業経営(杉山友城)
1 はじめに
2 伝統的地域産業と現代的地域産業
  2.1 伝統的地域産業ー単一製品特化と閉鎖型分業体制ー
  2.2 現代的地域産業ー開放型(国際)分業体制と分離型拡張ー
3 地域産業と地域づくり・企業経営
  3.1 地域産業と地域づくりの融合ー産業主体から文化・生活主体へー
  3.2 地域産業と企業経営にみる分離・分化および再結合・融合化の視点
     ー小浜論からのアプローチー
4 持続可能な地域産業と企業経営の実現に向けて
  ーコーディネーター論とキャリア論ー
  4.1 コーディネーターとは何か
  4.2 コーディネーターは特殊能力なのか
  4.3 いま、地域産業と企業経営に求められる「心・技・体」の三位一体化
5 おわりに

第8章 持続可能な地域・産業づくりと複合型経営
   ー内モンゴルにおける農林牧畜業への日中比較アプローチー(白 明)
1 はじめに
2 内モンゴルにおける草原産業の論理構造
  ー複合型経営を軸にした持続可能な産業経営に向けてー
3 農林牧畜業・「新型工業」・観光業との複合
  3.1 農林牧畜業の三位一体化
  3.2 付加価値アップに向けて「新型工業」の構築
  3.3 観光牧場・観光農園の推進
4 日本と内モンゴルでの調査事例にみる複合型経営モデル
  4.1 心の癒しと潤いの聖地「愛知牧場」
  4.2 のんびり楽園「モクモクファーム」
  4.3 地域シンボルを目指す「蒙和公司」
5 持続可能な地域づくりへのプロセス
  5.1 日本に学ぶ「複合型経営」の導入
  5.2 村単位による地域づくりの重要性
6 おわりに

第9章 持続可能なまちづくり
   ー「地域創造」視点からのアプローチー(古橋敬一)
1 はじめに
2 持続可能な社会の構築に貢献するまちづくり
  2.1 持続可能な発展の定義
  2.2 持続可能な社会とは何か
  2.3 現代のまちづくりと持続可能性
3 地域創造型まちづくりへの視座
  3.1 地域創造とは何か
  3.2 地域創造型まちづくりのプロセス
  3.3 理論を仮説とした新たな実践
4 なごやのみ(ん)なとまちをつくる
  4.1 港まちづくり協議会の実践事例
  4.2 地域創造型まちづくりの視点から紐解く
5 おわりに

終 章 創造産業地域の再生と発展(池上 惇)
1 はじめにー現代産業論の基本的な視点ー
  1.1 「産業・生活の地域システム」を生み出す智慧
  1.2 大量生産・大量消費・大量廃棄システムの崩壊と大不況
  1.3 日本社会の生み出した智慧と文化資本の形成
2 日本における「創造産業地域」の形成と発展
  2.1 創造活動が産業構造に及ぼす影響
  2.2 柳宗悦の職人論をめぐって
  2.3 現代における職人仕事論の特徴
3 創造産業地域における3層構造の形成
  3.1 持続可能な産業と地域の研究ー産業地域からの魅力創造(地域ブランド)情報発信・訪問の人流ー
  3.2 現代産業の基本構造=産業地域の3層構造
4 創造産業地域の特徴と今後の展望
5 おわりにー産業・生活の地域システムー

執筆者紹介
あとがき(十名直喜)
参考文献一覧
索引

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