パブリックアートの展開と到達点
アートの公共性・地域文化の再生・芸術文化の未来
多様な解釈が存在するパブリックアートの多彩な作品を紹介し、その歴史的な広がりと地域再生、芸術文化の未来について考察する
著者 | 松尾 豊 著 |
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ジャンル | 文化とまちづくり叢書 |
出版年月日 | 2015/03/23 |
ISBN | 9784880653556 |
判型・ページ数 | A5並製・256ページ |
定価 | 3,300円(本体3,000円+税) |
在庫 | 在庫あり |
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内容説明
かつて「野外彫刻」、「屋外彫刻」などさまざまな名称で呼ばれていたパブリックアート。
本書は多様な解釈が存在するパブリックアートの歴史的展開と到達点を解明する。アートが美術教育や文化資源・文化政策と融合し新しい価値を創造することで、現代社会にどのような有効性をもたらすのか。多彩な作品を紹介しながらパブリックアートの歴史的な広がりと地域再生、さらに芸術文化の未来について考察する。
【著者】松尾 豊(まつお・ゆたか)
1953年、新潟県五泉市生まれ。1978年東京教育大学教育学部芸術学科(彫塑専攻)卒。1989年、毎日新聞社主催・毎日郷土提言賞富山県優秀賞受賞。 著書に『新潟街角の芸術̶̶野外彫刻の散歩道』(新潟日報事業社,1987)、『富山の野外彫刻』(桂書房,1991)
*プロフィールは本書刊行時のものです。
目次
Ⅰ:アートの定義とパブリックアート概念
1.「アルス」訳語から現代用語のアートへ
2.「パブリックアート」の定義と所感
1)ウィキペディアの定義
2)新田秀樹説
3)杉村荘吉説
4)竹田直樹説
5)谷口義人説
6)林容子説
7)暮沢剛巳説
3. パブリックアート概念とアートの公共性
1)パブリックアート試論
2)3つのPublicと3つのC
《注及び参考文献》
Ⅱ:パブリックアート前史(日本)
1.野外彫刻の定義と文献的変遷
2.日本野外彫刻史試論Ⅰ(縄文ー江戸時代)
1)原始時代(縄文・弥生・古墳時代)
2)古代(飛鳥・白鳳・天平・弘仁貞観時代)
3)中世(藤原・鎌倉・室町時代)
4)近世(桃山・江戸時代)
3. 日本野外彫刻史試論Ⅱ(明治以降)
1)民俗学的野外彫刻の変遷
2)肖像的野外彫刻の変遷
3)象徴的野外彫刻の変遷
4)記念碑的野外彫刻の変遷
5)街角的野外彫刻の変遷
6)美術館的野外彫刻の変遷
7)自発的野外彫刻の変遷
8)遊具的野外彫刻と類型化の問題点
《注及び参考文献》
《写真》
Ⅲ:野外彫刻展の歴史と到達点
1.野外彫刻展概説
2.野外彫刻展の歴史的展開
1)1950年代
2)1960年代
3)1970年代
4)1980年代
5)1990年代
6)2000年以降
3.野外彫刻展の果たした役割
《注及び参考文献》
《写真》
《年表Ⅰ:野外彫刻展の歴史(日本)》
Ⅳ:彫刻シンポジウムの歴史と到達点
1.彫刻シンポジウム概説
2.彫刻シンポジウムの歴史的展開
1)1960年代
2)1970年代
3)1980年代
4)1990年代
5)2000年以降
3.彫刻シンポジウムの到達点と果たした役割
1)目的
2)場所と素材
3)主催・共催・後援等
4)参加人数・選抜法・関連イベント等
5)彫刻シンポジウムの果たした役割と意義
《注及び参考文献》
《写真》
《年表Ⅱ:彫刻シンポジウムの歴史(日本)》
Ⅴ:「彫刻のある街づくり」の展開と到達点
1.「彫刻のある街づくり」の歴史的展開と地理的広がり
2.パブリックアート事業の20世紀的到達点
1)目的
2)彫刻の取得方法
3)主管部局
4)設置彫刻選定機関と選考委員
5)素材と設置場所
3.問題点と課題
1)修景・移設と彫刻間距離
2)計画立案部門と主管部局
3)都市デザインと景観条例
4)メンテナンスと防災
5)生涯学習時代の社会教育主事・学芸員・文化政策職員
4. 著名都市の近況
5. 市民の評価とパブリックアート用語の推移
《注及び参考文献》
《写真》
Ⅵ:「アートプロジェクト」の展開と芸術支援活動
1.背景と目的
2.「アートプロジェクト」の歴史的背景と傾向
1)用語の流れと概念
2)「アートプロジェクト」の傾向
3.「アートプロジェクト」の定義
1)諸説紹介
2)パブリックアートと「アートプロジェクト」の概念
4. 教育プロジェクトの実際
1)「IZUMIWAKU」から「学校が美術館」前後
2)水と土の芸術祭〈みずっちパラダイス〉の実践
3)富山県内の教育プロジェクト
5. 教育プロジェクトの可能性と意義
1)〈みずっちパラダイス〉の可能性と意義
2)高岡市「ものづくり・デザイン科」の可能性と意義
《注及び参考文献》
《写真》
《年表Ⅲ:「アートプロジェクト」の歴史(日本)》
Ⅶ:パブリックアート研究の成果、そしてアートの力と芸術の価値
1.パブリックアート研究の意義
1)教育プロジェクトとパブリックアートへの雑感
2)共有したい新学習指導要領の方向性と美術教師の未来
3).パブリックアート研究の文化資源・文化政策への接続的意味
2.アートの力と芸術の価値
1)日本彫刻史の欠落的視点
2)芸術家と芸術支援者の関係
3)アートの力と芸術の価値
《注及び参考文献》
附論Ⅰ:「文化としての野外彫刻を考える」(藤嶋 俊會)
附論Ⅱ:「パブリックアートと文化政策」(伊藤 裕夫)
あとがき
【附論 執筆者】
藤嶋 俊會:美術評論家。屋外彫刻調査保存研究会会長
伊藤 裕夫:静岡文化芸術大学、富山大学教授を経て現在フリーの研究者