内容説明
最近よく耳にする“ アートプロジェクト"とは、いったいどんなものだろうか。
日本におけるアートプロジェクトの歴史と現在を考える。
1990年以降、日本各地で行われてきたアートプロジェクト。その活動は、廃屋などで行う展覧会、野外・まちなかでの作品展示や芸術祭、
コミュニティの課題を解決するための実験的活動など多岐に渡り、その試みはアーティストと市民の間に新たな接点を生み出しました。
本書は、1950年代-1980年代をアートプロジェクトの「前史」、1990年以降に起こった様々な試みを「アートプロジェクト」と位置づけ、
美術史的文脈と社会的背景を切り口として、その変遷を解説。更に大学、場、美術館、まちづくり、社会、企業、アーティスト、被災地
などの実践現場から、これからのアートと社会のあるべき姿を提示します。
「日本型アートプロジェクト」の概要と歴史、事例を学ぶために最適な1冊であり、芸術を学ぶ人、アーティスト、文化支援を志す人をはじめ、
企業メセナ、地方自治体、公共文化施設関係者の必携書です。
【監修】熊倉 純子(くまくら・すみこ)
東京藝術大学音楽環境創造科教授。パリ第10大学卒、慶應義塾大学院修了。2002年まで(社)企業メセナ協議会に勤務。芸術支援や芸術と社会の関わりについて調査研究、啓発普及に携わる。 2002年より大学で学生たちとアートプロジェクトを行いながら、社会と芸術を結ぶ人材を養成する。専門は文化政策とアートマネジメント。
*プロフィールは本書刊行時のものです。
目次
アートプロジェクトとは
はじめに(熊倉純子)
Prologue 0 アートプロジェクト概説
Lecture1 歴史的位置付けとその変遷ー空間から場、そしてシステム
Lecture2 多様な担い手たち
Lecture3 地域社会からの期待
Chapter 1 大学 × アートプロジェクト 現場体験型教育と地域の拠点としての役割
Cace1 広島アートプロジェクト(広島市立大学) 美大生の考える、まちとアート(加治屋健司)
Cace2 文化をつくる(千葉大学)/ひののんフィクション(首都大学東京) 総合大学のアートプロジェクト(長田謙一)
Discussion 実践教育としてのアートプロジェクト
Chapter 2 オルタナティヴな場 × アートプロジェクト 持続可能なスキームに向けた新たな展開
Cace1 Art Center Ongoing 同世代でつくる現在進行形の表現の場(小川希)
Cace2 TRAVELERS PROJECT 未来の雑居ビル(野田恒雄)
Discussion オルタナティヴな場のつくり方、動かし方
Chapter 3 美術館 × アートプロジェクト 美術館がまちに仕掛けるアートプロジェクト
Cace1 アンサンブルズ2010(水戸芸術館)/MeToo推進室 主体性を引き出す仕掛け(竹久侑)
Cace2 金沢アートプラットホーム2008(金沢21世紀美術館)CAAK まちと美術館の中間地点を(鷲田めるろ)
Discussion 時代とともに変化する美術館のあり方
Chapter 4 まちづくり × アートプロジェクト まちへのアプローチとその関係づくり
Cace1 BEPPU PROJECT 大型観光地の国際展(山出淳也)
Cace2 あいちトリエンナーレー長者町エリア かつての繊維街でアートを日常に(吉田有里)
Discussion まちへ入り、人とつながり、プロジェクトを展開するには
Chapter 5 スタッフ × アートプロジェクト 地域型アートプロジェクトを支えるスタッフたちの横顔
Cace1 サスティナブルアートプロジェクト ヒミング おじちゃん、おばちゃんによる支援(高野織衣)
Cace2 ゼロダテアートプロジェクト アーティストによるアートプロジェクト(石山拓真)
Cace3 取手アートプロジェクト 幅広い世代層のスタッフ(羽原康恵)
Cace4 北本ビタミン 若い担い手によるチームプレイ(新井慶太)
Discussion1 現場の実態
Discussion2 地域型アートプロジェクトの可能性(ゲスト:中村政人)
Chapter 6 社会 × アートプロジェクト 表現活動と社会が抱える課題の接近
Cace1 Breaker Project 「絶滅危惧・風景」のまちで(雨森信)
Cace2 KOTOBUKI クリエイティブアクション 簡易宿泊街でアートの力を問い続ける(河本一満)
Discussion まちの課題とアートの幸せな関係
Chapter7 企業 × アートプロジェクト 企業がアートプロジェクトを支援する理由
Cace1 アサヒビール株式会社 シードマネーで新しい社会をつくる(加藤種男)
Cace2 千島土地株式会社 不動産会社の支援ー地元をアートの発信地へ(北村智子)
Discussion なぜアートプロジェクト支援なのか
Chapter 8 アーティスト × アートプロジェクト 過疎地と大型フェスティバルの可能性
Cace1 画一的になった“サイト・スペシフィック”を壊す(川俣正)
Cace2 システム型表現の地域展開(藤浩志)
Discussion1 大型フェスティバルが生まれた背景
Discussion2 過疎地が抱える問題と日本型アートプロジェクトの功罪
Chapter 9 3. 11以後 被災地に向き合うアートプロジェクト
Cace1 東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業(Art Support Tohoku-Tokyo) 被災地での芸術活動ー被災地を取り巻く「境界線」(佐藤李青)
Cace2 プロジェクトFUKUSHIMA! “FUKUSHIMA”をポジティブに変換する(大友良英)
Lecture プロジェクトFUKUSHIMA! 3.11以降の芸術(毛利嘉孝)
Cace3 きむらとしろうじんじんの「野点」 大槌での「野点」ー押し売りと、ありがた迷惑(きむらとしろうじんじん)
アートプロジェクトをもっと知る!参考文献
おわりに(菊地拓児、長津結一郎)
参考資料
本書で紹介したアートプロジェクトの軌跡
アートプロジェクト津々浦々
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