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公立文化施設の未来を描く  新刊

受動の場から提供主体への変貌に向けて

公立文化施設の未来を描く
著者 清水 裕之
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2022/03/26
ISBN 9784880655253
判型・ページ数 A5並製・352ページ
定価 3,960円(本体3,600円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

昭和初期1929 年誕生の日比谷公会堂を第1 号に、戦後の高度成長期から現在まで、文化会館や文化ホールなどホールを中心に構成される「公立文化施設」は、その数を増やし、延べ施設数ではおよそ3,500 館になった。しかし近年の文化ホールは、一部を除いて機能不全に陥っているという指摘は多い。蓄積されてきた制度疲労、経済停滞による資金不足など課題は多いが、何よりこれまでの貸館運営から脱却して、プログラム提供型機関へ生まれ変わる発想の転換が必要だ。著者はそう力説する。

 本書では、半世紀にわたり公共文化施設の諸課題に取り組んできた著者が、公会堂からスタートした公立文化施設の成り立ちと歴史の解析を踏まえ、現在の諸課題の分析、次に未来に向けての施策と展望を豊富な実例と写真を交えながら3部構成で展開。コミュニケートする劇場が生み出す新しい社会価値、新たな公立文化施設のマネジメントのあり方を示す。

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目次

第1部〈歴史編〉公立文化施設の明日を拓く物語 
1章 戦前の公会堂と劇場技術
1-1 公立文化施設の前身は公会堂建築
1-2 戦前の劇場の近代化
1-3 戦前における海外の劇場建築と技術
2章 戦後の公立文化施設と劇場・音楽堂の展開
2-1 戦後の公立文化施設の胎動
2-2 多目的ホールの展開
2-3 均質な客席空間
2-4 実験劇場と小劇場
2-5 専用ホールの登場
2-6 新国立劇場計画と公立文化施設計画への影響
2-7 多目的ホールの改良(専用ホールへの道)
3章 創造する劇場
3-1 必要とされる創造する劇場
3-2 多様な、見る― 見られる関係性の発見
3-3 市民参加型公立文化施設計画と設計プロセス
3-4 パブリックスペースの変革
3-5 アウトリーチから社会包摂へ
3-6 アートセンターへの展開
3-7 プログラム提供型機関としての公立文化施設

第2部〈分析編〉プログラム提供型機関としての諸課題
4章 公立文化施設の制度疲労
4-1 山積する課題
4-2 自己努力だけでは回収できない費用
4-3 年々困難となる鑑賞型事業の投資費用の回収
4-4 難しい地域の自主制作事業と文化芸術による創造的経済の樹立
4-5 文化芸術による公共圏形成の難しさ
4-6 使用料さえ払えば客席はガラガラでも
4-7 自主制作事業に自分の施設を使えないという矛盾
4-8 貸館による施設空間利用の非融通性
4-9 貸館型多目的ホールはセノグラフィーの展開を殺している
4-10 「自主事業」という用語をめぐる混乱
5章 プログラム提供型機関に向けての課題
5-1 「自主事業」から「プログラム提供型事業」という用語への転換
5-2 市民参加型プログラムの展開と課題
5-3 公立文化施設でオリジナルな作品を制作するときの障害
5-4 アウトリーチ、ワークショップなどの教育・普及プログラムの展開と課題
5-5 社会包摂型プログラムの展開と課題
5-6 地域連携プログラムの展開と課題
5-7 公立文化施設の公共圏と芸術監督の役割
6章 助成金・補助金
6-1 戦後の芸術関連団体と地域の文化振興に関する国の補助金
6-2 助成金のビジョンの整備とソフトへの転換
6-3 文化庁の直接補助事業
6-4 財団法人地域創造の創設と事業
6-5 共益から公益への転換とアーツカウンシル
6-6 民間の助成、クラウドファンディング

第3部〈未来創造編〉プログラム提供型機関を作る
7章 プログラム提供型機関の体制
7-1 プロとしての能力を磨く
7-2 参加型アクションを紡ぎだす「開かれた」公立文化施設
7-3 コモンズと公共圏
7-4 プログラムの公共性
7-5 新しいアート(社会的価値)を生み出す
7-6 多様な空間を構築しこれまでにないサービスを開拓
7-7 都市の創造性という大きな視点で活動する
7-8 アーカイブ機能により地域文化の継続と紡ぎだしの核となる
7-9 新型コロナウイルス禍を越えて新しいアートネットワークを構築
7-10 プロダクションマネージャーにより新たな地平を拓く
8章 コミュニケートする劇場を目指して
8-1 コミュニティシアター型プログラム提供型機関
8-2 アートセンター型小規模プログラム提供型機関
8-3 プロフェッショナル・リージョナルシアター型プログラム提供型機関
あとがき
索引

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