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改正博物館法詳説・Q&A  新刊

地域に開かれたミュージアムをめざして

改正博物館法詳説・Q&A
著者 博物館法令研究会 編著
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2023/02/28
ISBN 9784880655413
判型・ページ数 A5並製・272ページ
定価 3,190円(本体2,900円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

ミュージアムと学芸員のあり方はどう変わるか?

 2022 年、わが国「博物館」の公共的価値や学芸員等の資格要件等を定めている基本的な法律である博物館法が、およそ70 年ぶりに改正され、’23 年4月に施行される。
 本書は、文化庁で改正博物館法を担当してきた当事者たちが結成した研究チームが、豊富なQ&A を網羅して実務者にもわかりやすく、近代博物館制度の成り立ち、旧博物館法の制定から今次改正に至る背景と道筋、改正内容を詳説するとともに、改正に当たり広範に収集した参考資料を一冊にまとめた貴重な記録である。。
 学芸員などミュージアムの実務関係者のみならず、文化芸術や地方自治体の関係者・研究者など、全国各地域においてミュージアムの価値を活かした地域の文化芸術・教育政策、そして好循環の創造に携わるすべての関係者に必携の書。

【編著者】博物館法令研究会
文化庁改正博物館法改正プロジェクトチームのメンバー7人による自主研究組織。博物館、美術館、動物園、水族館等ミュージアムに関する法令や地方の教育文化政策、国際的動向等について通暁している。ジャパン・ミュージアムの価値を活かしたエコシステムの創生がミッション。代表はチームリーダーの井上卓己(現文化庁文化戦略官/博物館振興室長)。
*プロフィールは本書刊行時のものです。

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目次

はじめに
Ⅰ 近代博物館制度の成立と改正博物館法への道程 井上 卓己
1. 占領下での博物館法の制定
(1) 近代博物館制度の成立と戦災による打撃
(2) 議員立法により制定された博物館法
(3) 博物館法と社会教育法、教育基本法との関係
(4) 博物館法と文化財保護法との関係
コラム 文化財保護法制定と国立博物館
2. 改正博物館法の成立
(1) 我が国における「博物館」の定義とその多様性
(2) 文化施設としての博物館
(3) 博物館の定義の国際的な動向
(4) ICOM京都大会の「文化をつなぐミュージアム」の理念
(5) 新「文化庁」の機能強化と博物館行政の一括化
(6) 博物館に求められる役割・機能の多様化・高度化と博物館法の改正
(7) 登録制度の見直し〜法人類型にかかわらず登録可能に〜
(8) 学芸員の資格要件の見直し
(9) 学芸員補の資格要件の見直し
(10) 様々な専門的職員の養成・資質向上
(11) 博物館資料のデジタル・アーカイブ化の追加
コラム 博物館資料をデジタル化して展示するミュージアム
コラム 博物館とミュージアム
コラム 会社が設置者となる博物館(会社立博物館)
3. 博物館の機能強化のための好循環の創造
コラム 特区制度を活用した地域文化振興の可能性

Ⅱ 我が国の近代博物館制度と現在の博物館に求められる役割
〜博物館の北極星〜 中尾 智行
(1) 博物館への眼差し
(2) 文化政策と観光
(3) 博物館現場の反応
(4) 多様化する事業
(5) 博物館の北極星
(6)「学芸引力」
(7) まとめにかえて

Ⅲ 改正博物館法の解説
1. 改正事項の概要
(1)登録制度の見直し
(2) 博物館等の間の連携・協力の推進
(3) 地域の活力の向上等への寄与
(4) 学芸員補の資格の要件の見直し
(5) 指定施設に関する規定の整理等
2. 改正事項の詳細
(1) 本法の目的
(2) 博物館の定義の規定ぶり
(3) 公立及び私立博物館の定義について
(4) 国立の博物館の位置付けを変更しないこと
(5) 博物館資料に係る電磁的記録の作成・公開に関する規定の整備
(6) 博物館の業務に従事する人材の養成及び研修に関する規定の整備
(7) 博物館等相互の連携・協力に関する努力義務規定を置くこと
(8) 地域の活力の向上等に関する規定を置くこと
(9) 学芸員補の資格の見直し
(10) 博物館法と登録制度を設けた趣旨について
(11) 登録制度の主な法的効果について
(12) 登録制度の概要
(13) 現行第18条(設置)を削除すること
(14) 現行第19条(所管)を削除すること
(15) 博物館協議会の委員の任命
(16) 博物館協議会の設置等に関する事項
(17) 公立博物館に係る補助対象について
(18) 博物館に相当する施設の指定等について
(19) 指定施設の取消しの規定を設けること
(20) 原始附則第2項の経過措置の削除について
(21) 改正法附則

Ⅳ 改正博物館法Q&A
問1 今回の博物館法の改正の目的は何か。
問2 約70年ぶりの改正となった背景は何か。
問3 関係団体からはどのように意見聴取のヒアリングを行ったのか。
問4 2019年のICOM京都大会における「文化をつなぐミュージアム」とはどのような考えか。改正博物館法にどのように反映されているのか。
問5 改正博物館法は、博物館を社会教育施設から観光施設へと変えようとするものではないか。
問6 改正博物館法において登録博物館となるメリットは何か。
問7 国では、登録博物館に対してどのような支援を行っているのか
問8 国立博物館の入館料はどのように設定されているのか。
問9 博物館におけるデジタル・アーカイブ化の推進とはどのようなものか。なぜ追加されたのか。
問10 歴史博物館や美術館と、動物園や水族館といった施設は、その役割が異なると考えられるが、どのように考えるか。
問11 学芸員の処遇改善・地位向上のためにどのように取り組むのか。
問12 2008年の改正時にはなぜ改正しなかったのか。当時も今と状況は変わらなかったのではないか。
問13 2008年の改正時の参議院附帯決議を受けて、どのように対応してきたのか。なぜ今まで登録制度を改正しなかったのか。
問14 2019年に開催されたICOM 京都大会ではどのような議論が行われ、どのような成果があったのか。
問15 文化観光の推進は全ての博物館に必須なのか。
問16 博物館には新型コロナウイルス感染症でどのような影響が生じ、国はどのような対応を取ってきたのか。
問17 博物館が寄付金など自己収入を上げる必要があるのか。
問18 日本学術会議から博物館法の見直しについて提言された内容と、今回の改正内容が異なる部分が多いのはなぜか。
問19 博物館の登録の要件は具体的にどのように見直すのか。
問20 ひとつの建物に着目するのではなく、例えば一定のエリア全体を博物館と見立てるなどの「面」でとらえる視点が必要ではないか。
問21 博物館に登録されないと、博物館を名乗れないのか。
問22 なぜ国立の博物館は博物館法上の登録博物館となることができないのか。
問23 国立大学の大学博物館はどうなるのか。
問24 博物館では老朽化・狭隘化が進んでいくがどのように考えるか。
問25 株式会社等の設置する博物館が登録博物館となるメリットは何か。
問26 営利企業を博物館の設置主体として認めることは、問題ではないか。
問27 博物館が閉館した際の資料の保全についてどのように考えるか。
問28 どの博物館でも資料が増える一方で、収蔵庫の整備を行う必要がある。政府の支援を行うべきではないか。
問29 大多数を占める小規模館が抱える人員面予算面の課題に対してどのような支援を考えているのか。
問30 文化芸術基本法の精神を目的に位置付けるのはなぜか。具体的にどのような意味があるのか。(第1条関係)
問31 博物館を文化施設として位置付けることにより、博物館の社会教育施設としての意義が弱まるのではないか。(第1条関係)
問32 なぜ登録制度があるのか。(第2条関係)
問33 私立博物館を博物館のうち公立博物館以外のものとするのはなぜか。(第2条関係)
問34 学芸員その他の博物館の事業に従事する人材の養成及び研修を博物館の事業に追加するのはなぜか。その他の博物館の事業に従事する人材とは具体的に何か。(第3条第1項関係)
問35 他の博物館等との連携を努力義務とする理由は何か。(第3条第2項関係)
問36 地域の多様な主体との連携・協力による文化観光その他の活動を図り地域の活力の向上に取り組むことを努力義務とする理由は何か。(第3条第3項関係)
問37 学芸員の資格要件のうち第5条第1項第2号はなぜ改正するのか。(第5条第1項第2号関係)
問38 学芸員補の資格はなぜどのように見直すのか。(第6条関係)
問39 現在の学芸員補の数はどうなっているか。短期大学士を資格条件の一つとした場合、地域的な偏在が生まれると思われるが、どのように対処するのか。(第6条関係)
問40 現在、学芸員補として活躍している人はどうなるのか。(第6条及び附則関係)
問41 国・都道府県等教育委員会による研修の対象に学芸員・学芸員補以外の者を含めることとする理由は何か。(第7条関係)
問42 地方独立行政法人が設置する博物館について、実例はあるのか。どのように評価しているか。指定管理者制度との違いはどこにあるのか。(第13条関係)
問43 地方独立行政法人法の施行令を見直した時に、なぜ改正しなかったのか。(第13条関係)
問44 博物館を運営するために必要な経済的基礎、社会的信望とは何か。(第13条第1項第1号関係)
問45 設置者の社会的信望はどのようにして確認するのか。(第13条第1項第1号関係)
問46 個人立の博物館は登録の対象として認められないのか。(第13条第1項第1号関係)
問47 博物館資料の収集・保管・展示及び調査研究を行う体制等の基準とはどのようなものか。(第13条第1項第3号~第5号関係)
問48 なぜ全国一律の基準とせず、国が定める基準を参酌して都道府県の教育委員会が定めることとしたのか。(第13条第2項関係)
問49 学識経験者への意見聴取の規定を設けたのはなぜか。会議体や複数の人の意見を聴かなければならないのか。(第13条第3項関係)
問50 学識経験者とはどのような人を想定しているのか。(第13 条第3項関係)
問51 登録等についてインターネット等による公表義務を新たに設けたのはなぜか。(第14条、第15条、第19条、第20条関係)
問52 都道府県の教育委員会への定期報告に関する規定を設けた趣旨は何か。(第16条関係)
問53 どれくらいの頻度で、何を報告させるのか。博物館現場では負担が大きいのではないか。(第16条関係)
問54 博物館の設置者に対する都道府県教育委員会の勧告及び命令等の制度はなぜ創設するのか。(第17条・第18条関係)
問55 第19条(登録の取消し)の規定を改正する趣旨は何か。(第19条関係)
問56 第21条(都道府県又は指定都市の設置する博物館に関する特例)の規定を設ける趣旨は何か。(第21条関係)
問57 現行第18条(設置)はなぜ削除するのか。(現行第18条関係)
問58 現行第19条(所管)はなぜ削除するのか。(現行第19条関係)
問59 指定施設についての博物館等との連携・協力の努力義務と、国等が設置する指定施設の博物館等への協力に関する努力義務規定は、なぜ新設するのか。(第31条第5項及び第6項関係)
問60 施行日はなぜ公布日ではなく「令和5年4月1日」となるのか。(附則第1条関係)
問61 法施行の際、現に博物館において学芸員補の職にある者が、引き続き当該博物館において学芸員補となることができる経過措置を設けるとのことだが、別の博物館に移る場合や一時休職して再び学芸員補として勤務する場合などはどうなるのか。(附則第2条第2項関係)
問62 一度登録されたところにもう一度審査を受けさせることは、現場へ大きな負担を強いることになるのではないか。(附則第2条第4項関係)

Ⅴ 改正博物館法参考資料
1 改正後の博物館法(令和5年4月1日施行)
2 博物館法の一部を改正する法律案提案理由説明
3 博物館法の一部を改正する法律の公布について(令和4年4月15日付文化庁次長通知)
4 博物館法の一部を改正する法律案の概要
5 博物館法の一部を改正する法律案要綱
6 博物館法の一部を改正する法律案 改める文
7 博物館法の一部を改正する法律案 新旧対照表
8 博物館法の一部を改正する法律案 参照条文
9 改正博物館法の実施に関する基本的な留意事項(文化審議会博物館部会(第4期)令和4年7月29日提出資料)
10 学芸員等の資格の改正に伴う関係規程の整備(文化審議会博物館部会(第4期)令和4年7月29日提出資料)
11 学習指導要領等における博物館に関する記載の例
12 骨太等の政府文書における博物館関係記載(抜粋)
13 改正後の博物館法(英訳) ※仮訳
おわりに

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