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わたしの居場所、このまちの。

制度の外側と内側から見る第三の場所

わたしの居場所、このまちの。
著者 田中 康裕
ジャンル 文化とまちづくり叢書
社会
出版年月日 2021/06/23
ISBN 9784880654966
判型・ページ数 A5並製・288ページ
定価 2,860円(本体2,600円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

近年、介護予防の場所として注目を集める「居場所」。
 2000年代前半に同時多発的に小規模な場所として開かれ、当初の不安に反し全国に広がりを見せ、介護予防や介護機能を担うことが期待されるようになった。そして元々、制度や施設の外側として開かれた居場所が逆に制度や施設のモデルにされるという動きも生まれている。しかし本来の「居場所」は既存の制度や施設の枠組みでは上手く対応されない切実な要求に対応するために開かれてきた経緯があり、「生きる喜びや楽しみ、自己実現の場」、「地域に生きる安心につながる」ことを目的とした場所である。

 本書では筆者がこれまで調査、運営のサポートに携わってきた先駆的な「居場所」について、前作『まちの居場所』より更に踏み込んだ実態を紹介するとともに居場所と施設を比較・分析し、制度化される過程で見えにくくなってきた本来の役割を明らかにする。

 訪れた一人ひとりの要求とその対応により多機能化する「居場所」は介護予防が目的ではなく「結果として」介護予防が実現されて行く場であり、制度と施設の外側から日常を豊かにしてゆく。その実現を目指し、活力ある地域と社会の構築を論究する。

著者:田中 康裕(たなか・やすひろ)
1978 年京都府生まれ。大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。まちの居場所の研究・実践を続けている。清水建設技術研究所を経て、2013 年から岩手県大船渡市に移り住み、「居場所ハウス」の運営・研究に携わる。2014 年よりワシントンDCの非営利法人「Ibasho」がフィリピン、ネパールで進めるプロジェクトのサポート・研究。2015年8月より特定非営利活動法人Ibasho Japan・副理事長。東京大学大学院経済学研究科・特任研究員(2015 ~ 2017)。2018 年10 月よりIbasho Japan・代表(~現在)。大阪府の千里ニュータウンで長年「まちの居場所」、計画住宅地のアーカイブに関する研究と実践を行い、現在千里ニュータウン研究・情報センター事務局長。 共著に『環境とデザイン(シリーズ〈人間と建築〉3)』(朝倉書店)、『まちの居場所:まちの居場所をみつける/つくる』(東洋書店)、『まちの居場所:ささえる/まもる/そだてる/つなぐ』(鹿島出版会)。「まちの居場所」の活動記録として『街角広場アーカイブ’07』(ひがしまち街角広場, 2007 年)、『居場所ハウスのあゆみ』(Ibasho, 2015年)を編集 。
*プロフィールは本書刊行時のものです。

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目次

はじめに
 居場所の現場からの問題提起
 本書の構成

プロローグ
 1.居場所と新型コロナウィルス感染症
 2.5つの居場所との関わり
 3.本書における用語・表記

第1部 居場所の姿
第1章 5つの居場所
第2章 親と子の談話室・とぽす(東京・江戸川区)
第3章 下新庄さくら園(大阪・大阪市)
第4章 ひがしまち街角広場(大阪・豊中市)
第5章 居場所ハウス(岩手・大船渡市)
第6章 実家の茶の間・紫竹(新潟・新潟市)

第2部 居場所の可能性
第7章 居場所をめぐる小史
 1.制度・施設の外側の場所
 2.居場所の制度化

第8章 制度化における機能の先行
 1.多機能化していく居場所
 2.制度化における機能の先行
 3.第三者としての専門家による要求の先取り
 4.目的としての介護予防と結果としての介護予防

第9章 居場所に備わってくる機能

第10章 要求への対応により育つ理念
 1.主(あるじ)による要求への対応
 2.具体例により豊に育つ理念
 3.理念の共有

第11章 利用・参加ではなく居られる場所
 1.場所を作りあげる当事者
 2.居合わせる

第12章 おわりに

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