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アートプロジェクトのピアレビュー

対話と支え合いの評価手法

アートプロジェクトのピアレビュー

現場で実際に行ったプロセス、気づきを中心に多層的な視座から構成。図版・イラストを多用した「ピアレビュー」を学ぶ入門書

著者 熊倉 純子 編著
槇原 彩 編著
ジャンル 社会
アート・カルチャー
出版年月日 2020/03/17
ISBN 9784880654812
判型・ページ数 A5並製・128ページ
定価 1,760円(本体1,600円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

日本各地で開催されている芸術祭やアートプロジェクト。
「アートが社会と結びつくことで地域に貢献できるのではないか」と、多くの自治体が取り組むようになりました。

しかし、行政が求める「効果」は誰の目にもわかるものになりがちで、アートプロジェクトの現場は、ついつい「スポンサーを喜ばせるための評価」を行ってしまいます。そして、そんな評価では活動本来の価値が伝わらないというジレンマは、アートの現場に「評価疲れ」を引き起こしてしまいます。

こうした現状に対して、本書は、「アートの現場が、自身の強みを知るための評価手法」として「ピアレビュー」を提案するものです。ピアとは、理解しあえる同業他者。外部の仲間の視点を借りて、お互いを「映し鏡」に評価しあうのが「ピアレビュー」です。本書では、6つのアートプロジェクトが実際にピアレビューにチャレンジ!ピアを選ぶところから始まるプロセスをわかりやすく紹介し、レビューの結果を図表やマンガ、座談会など、いろいろな形で説明しています。

「ピアレビューってなに?」という問いに具体的に答える本書は、さらに、「ロジックモデル」と「社会的インパクト評価」など、他の評価方法を概説する専門家の寄稿も加えて、文化事業の評価全般の入門書となっています。

【監修・編著】熊倉 純子(くまくら・すみこ)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科研究科長。パリ第十大学卒、慶應義塾大学院修了(美学・美術史)。企業メセナ協議会を経て、2002年より東京藝術大学音楽環境創造科で教鞭をとる。アートマネジメントの専門人材を育成し、アートと市民社会の関係を模索、文化政策を提案する。著書に『アートプロジェクト:芸術と共創する社会』(監修/水曜社、2014)『〈地元〉の文化力:地域の未来のつくりかた』(共著:苅谷剛彦、河出書房新社、2014)など。

【編著】槇原 彩(まきはら・さや)
専門は、音楽文化学や芸術環境、文化政策、アートマネジメントなど。愛知県立芸術大学にて音楽学を学ぶ。卒業後、公共ホールにて音楽事業の企画制作を3年間担当したのち、東京藝術大学大学院音楽文化学専攻芸術環境創造に進学し、アートプロジェクトの世界へ。現在、NPO法人 音まち計画に事務局スタッフとして従事しながら、同大学院博士後期課程に在学中。研究と現場を往還しながら、社会と芸術をつなぐ役割となるべく試行錯誤の日々。山口県出身。
*プロフィールは本書刊行時の物です。

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目次

はじめに アートの現場を幸せにする評価とは?
 熊倉純子(東京藝術大学大学院国際創造研究科)

ピアレビューをはじめよう!
ピアレビューのすすめ
 若林朋子(プロジェクトコーディネーター/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)

[CASE1]取手アートプロジェクト×應典院
 拠点を開き、さまざまな関わり方を支えるには?
 [STORY]はじめてのピアレビュー〈取手アートプロジェクト編〉(マンガ・石山さやか)
 [ESSAY]社会に向けたプロジェクトであることを再認識するために
 羽原康恵(取手アートプロジェクト実施本部事務局長)
 [ESSAY]他者との対話を通じてケアされ、エンパワメントされていく出会い
 秋田光軌(浄土宗應典院主幹)

[CASE2]谷中のおかって×芸術家と子どもたち
 アーティストと子どもの関わり方、場のつくり方を探る
 [COMPARISON]体制の比較/相互視察
 [TALK]座談会・子どもたちの未来を考えるピアレビュー
 竹丸草子(NPO法人芸術家と子どもたちアドバイザー)
 渡邉梨恵子(一般社団法人谷中のおかって代表)大西健太郎(一般社団法人谷中のおかってスタッフ)
 [ESSAY]プロジェクトの熟成のための、信頼できる他者の存在 渡邉梨恵子 
 [ESSAY]変化を内包する評価 竹丸草子

[CASE3]アートアクセスあだち 音まち千住の縁×TERATOTERA
 サポーターの比較検証からプロジェクトを見直す
 [COMPARISON]さまざまな角度からサポーターを比較
 [ESSAY]原動力としてのサポーターの存在を見直す機会に
 吉田武司 (アートアクセスあだち 音まち千住の縁ディレクター)
 長尾聡子 (アートアクセスあだち 音まち千住の縁事務局長)
 [ESSAY]ピアレビューで、少し軽くなった心と体
 高村瑞世(TERATOTERA事務局長)

ピアレビューの可能性とは
 評価論におけるアートプロジェクトのピアレビューの位置づけ
 源由理子(明治大学教授)
 [COLUMN]目標を定め、達成するための手法「ロジックモデル」
 社会的インパクト評価の方法論として
 槇原彩(東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻芸術環境創造博士後期課程)

おわりに 見えない価値を可視化する
 熊倉純子

&Geidaiピアレビューの歩み

ピアレビューを実践してみよう!

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