ホーム > 創造社会の都市と農村

創造社会の都市と農村

SDGsへの文化政策

創造社会の都市と農村
著者 佐々木 雅幸
敷田 麻実
川井田 祥子
萩原 雅也
ジャンル 文化とまちづくり叢書
出版年月日 2019/07/02
ISBN 9784880654652
判型・ページ数 A5並製・320ページ
定価 3,300円(本体3,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

2015年国連サミットでの「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」の採択以来、世界各地の地域政策はもちろん民間ビジネスにおいても持続可能な社会の実現を推進しようとする取り組みが活発化している。

 わが国では、これまで佐々木雅幸が「創造都市」と「創造農村」を提言してきた。
 「創造都市」では包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市および人間居住地を実現するべく、すでにユネスコ選定の諸都市が180に及び、具体的な都市ごとに個別の目標を設定し取り組みが取り組みが進められている。

 一方「豊かな自然生態系を保全する中で固有の文化を育み、新たな芸術・科学・技術を導入し、職人的ものづくりと農林業の結合による創造的問題解決を行えるような『創造の場』に富んだ農村」 を「創造農村」と位置づけ、わが国固有の新たな取り組みが各地で進む。
 本書は、地域課題の先にある「創造性社会」に向けたSDGsのゴールとなる経済・社会・環境問題を包括的にとらえ、ローカルとグローバルな文脈で意味づけながら、創造性とイノベーションを発揮しながら地域課題の解決に取り組む試みを、15人の筆者がそれぞれの視座から捉え、報告し提議する。

【監修者・執筆者一覧】*プロフィールは全て刊行時のものです。

総監修・編著:佐々木 雅幸(ささき・まさゆき) 
1949年生まれ。大阪市立大学名誉教授、同志社大学客員教授、文化庁地域文化創生本部主任研究官。金沢大学(1985-2000年)、立命館大学(2000-03年)、大阪市立大学(2003-14年)、同志社大学(2014-19年)などで教授を勤める。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。文化経済学会〈日本〉元会長。国際学術雑誌City,CultureandSociety(Elsevier)初代編集長。一般社団法人創造都市研究所・代表理事。創造都市研究の世界的リーダーで、ユネスコ創造都市ネットワークのアドバイザーも務める。著書に『創造都市の経済学』勁草書房『創造都市への挑戦』岩波書店、編著書に『沖縄21世紀への挑戦』『創造都市と社会包摂』水曜社『創造農村』学芸出版社などがある。

分担執筆者(掲載順)
萩原 雅也(はぎはら・まさや)1章
大阪樟蔭女子大学学芸学部教授。1958年生まれ。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程修了・博士(創造都市)。大阪府立高等学校教諭、大阪府教育委員会事務局社会教育主事、大阪樟蔭女子大学准教授を経て現職。文化経済学会〈日本〉会員、大阪府社会教育委員。論文に「創造都市に向けた『創造の場』発展プロセスの考察」「『創造の場』としてのアートNPOの可能性についての考察」、著書に『創造の場から創造のまちへ』『創造農村』など。

高市 純行(たかいち・よしゆき) 2章
毎日新聞東京本社美術事業部長。1965年大阪生まれ。神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士課程単位取得満期退学。1988年、毎日新聞社入社。大阪と東京の事業部で展覧会の企画・運営に携わる。大阪本社文化事業部長を経て現職。主な展覧会に「ルノワール展」「ミレーとバルビゾン派の画家たち展」「フェルメールとその時代展」「雪舟展」「円山応挙展」「祈りの道―吉野・熊野・高野の名宝」「狩野永徳展」「長谷川等伯展」「歌川国芳展」「国宝展」「横山大観展」などがある。

田代 洋久(たしろ・ひろひさ) 3章
北九州市立大学法学部政策科学科教授。1961年生まれ。京都大学工学部卒、大阪市立大学大学院創造都市研究科修了。博士(創造都市)。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)、兵庫県庁、兵庫県立大学を経て現職。専門は都市政策、文化まちづくり政策。主要論文に「地域資源の活用による地域ソーシャル・イノベーションの形成」「文化的資源の多元的結合による地域活性化に関する考察」、著書(共著)に『創造農村』『地域マネジメント戦略』『尼崎市の新たな産業都市戦略』などがある。

杉浦 幹男(すぎうら・みきお) 4章
アーツカウンシル新潟プログラムディレクター/宮崎県みやざき文化力充実アドバイザー。1970年生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員、沖縄版アーツカウンシルプログラムディレクターなどを経て、現職。専門は文化政策、文化産業論。「沖縄文化を世界へ~2020年東京五輪を契機とした地域文化発信の可能性」(東京文化資源会議編(2016)『TOKYO1/4と考えるオリンピック文化プログラム~2016から未来へ』(勉誠出版)など。

池田 千恵子(いけだ・ちえこ) 5章
大阪成蹊大学マネジメント学部准教授。大阪市立大学都市研究プラザ客員研究員。1967年生まれ。信州大学教育学部卒、大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程修了。博士(創造都市)。株式会社リクルート、株式会社リクルートメディアコミュニケーションズ、関西国際大学教育支援課、大阪成蹊大学教育研究支援部を経て現職。論文に「ポートランド市パール地区における再生と社会的構成の変化」「新潟市沼垂地区における空き店舗再利用による再活性化」、著書に『入門観光学』(共著)など。

敷田 麻実(しきだ・あさみ) 6章
北陸先端科学技術大学院大学知識マネジメント領域教授。石川県水産課勤務の後、金沢工業大学環境システム工学科教授、北海道大学観光学高等研究センター教授を経て、2016年から現職。専門はエコツーリズムと地域マネジメント。論文に「地域資源の戦略的活用における文化の役割と知識マネジメント」「観光立国に向けた展望と課題―環境問題の観点から―」、著書に『地域資源を守っていかすエコツーリズム』『観光の地域ブランディング』など。

森崎 美穂子(もりさき・みほこ) 7章
大阪市立大学商学部・大学院経営学研究科客員研究員。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程修了。博士(創造都市)。現代まで受け継がれてきた伝統的な食文化、とりわけ和菓子に注目し、その地域資源としての活用を研究テーマとしている。現在は、食文化と地域農業をテーマとした観光振興について日仏比較研究を行っている。著書に『和菓子―伝統と創造』(水曜社)『東海の和菓子名店』(ぴあ、共著)がある。

清水 麻帆(しみず・まほ) 8章
大正大学地域構想研究所助教。専門は文化経済学、地域経済学。コンテンツツーリズム学会理事。1973年生まれ。MiddleburyInstitutionofInternationalStudies修士課程修了、立命館大学大学院政策科学研究科博士後期課程修了、学術博士。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て現職。2013年日本都市学会論文賞受賞。論文に「都市再生事業における文化インキュベーターシステムの役割―サンフランシスコ市 Yerba Buena Centerプロジェクトの事例から」「マルチメディア産業の持続的な発展と都市政策―サンフランシスコ市・ソーマ地区の国際事例研究」など。

久保 由加里(くぼ・ゆかり) 9章
大阪国際大学国際教養学部国際観光学科准教授.。大阪市立大学大学院創造都市研究科修士課程修了、修士(都市政策)。日本航空株式会社入社、大阪、成田、ロンドン・ヒースロー空港勤務を経て現職。ホスピタリティマネジメントの観点から観光学を研究。著書に『国際学入門』(共著)。論文に「英国におけるパブリック・フットパスの保全にみる共生するツーリズム―コッツウォルズ地方の事例から」「日常と異日常の融合を目指した観光産業戦略―スイス アッペンツェル地方の事例から」他。

竹谷 多賀子(たけや・たかこ) 10章
同志社大学嘱託講師・創造経済研究センター嘱託研究員。三菱UFJリサーチ&コンサルティング入社後、研究員として文化・地域政策の調査研究に従事。専門は、都市・地域政策、文化政策。現在は、文化・経済・社会・環境の側面から維持可能な地域社会の形成について研究・政策提案を実施。主な論文・著書(共著)に「創造都市ネットワークの展開とその可能性」(同志社大学)、「地域の記憶を受け継ぐ旅の形」「文化による地方創生の旗印は結実するか」『日本はこうなる』(東洋経済新報社)などがある。

廣瀬 一郎(ひろせ・いちろう) 11章
京都市職員。1979年生まれ。龍谷大学文学部卒、大阪市立大学大学院創造都市研究科修士課程修了。(公財)奈良市生涯学習財団、大阪府摂津市職員を経て現職。教育(社会教育、教育行政)、福祉、公有財産活用、住宅政策などに従事。近年では、PARASHOPHIA 京都国際現代芸術祭2015、東アジア文化都市2017京都、若手芸術家支援など文化政策に携わる。

鈴木 美和子(すずき・みわこ) 12章
大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程修了、博士(創造都市)。論文:「創造経済におけるデザイナー起業家の役割と政策的課題―ブエノスアイレス市の事例から」、著書に『文化資本としてのデザイン活動―ラテンアメリカ諸国の新潮流』(水曜社)、Diseño,proyectoydesarrollo:miradasdelperíod 2007-2010 enargentina ylatinoamerica(分担執筆)、『抵抗と創造の森アマゾン―持続的な開発と民衆の運動』(分担執筆)

本田 洋一(ほんだ・よういち) 13章
大阪市立大学大学院都市経営研究科客員研究員。博士(創造都市)。門真市文化芸術推進審議会副会長。1950年生まれ。京都大学経済学部卒業後大阪府庁入庁、産業、文化政策等に従事。元奈良県斑鳩町参与(地方創生担当)。著書に『アートの力と地域イノベーション—芸術系大学と市民の創造的連携』(水曜社)。『創造農村—過疎をクリエイティブに生きる戦略』(共著、学芸出版社)。論文に「産業振興と道州制—基本的視点」他。

川井田 祥子(かわいだ・さちこ) 14章
鳥取大学地域学部教授。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程修了・博士(創造都市)。文化経済学会〈日本〉理事、日本文化政策学会理事。大阪市立大学都市研究プラザ特任講師などを経て現職。NPO法人都市文化創造機構の理事・事務局長も務め(2007~2018年)、創造都市・創造農村をめざす自治体やNPOなどのプラットフォームとなる「創造都市ネットワーク日本(CCNJ)」設立にも携わった。著書に『障害者の芸術表現』(水曜社)『創造農村』(学芸出版社 共編著)など。
*プロフィールは本書刊行時の物です。

このページのトップへ

目次

序 創造都市・創造農村の到達点と新地平
佐々木 雅幸

【第1部 創造都市】
第1章 文化資源としての廃校と創造都市形成 —京都市の事例から(萩原 雅也)
第2章 都市とメディアとミュージアム —大阪の美術館をめぐる考察(高市 純行)
第3章 アートプロジェクトと文化創造地域政策 —大分県における事例を中心に(田代 洋久)
第4章 大都市における創造農村的取り組みへの展望 —地域社会の課題解決に向けた文化芸術の取り組み(杉浦 幹男)
第5章 リノベーションによる創造地区から創造都市への発展 —新潟市中央区を事例として(池田 千恵子)

【第2部 創造農村】
第6章 創造的な資源利用は農村を豊かにするか(敷田 麻実)
第7章 和菓子と地域農業 —「白小豆」を巡る取引形態(森崎 美穂子)
第8章 文化を基盤としたレジリエンス —奄美の維持可能な発展への挑戦(清水 麻帆)
第9章 フットパスによる創造的地域づくり —共創のエリアデザイン(久保 由加里)
第10章 創造農村と維持可能な社会の実現 —神山町と珠洲市におけるSDGsへの接近(竹谷 多賀子)

【第3部 新領域】

第11章 東アジア文化都市と創造都市のネットワーク(廣瀬 一郎)
第12章 創造農村のためのデザイナーの役割と支援ファクター —アマゾンのソーシャルデザインの事例から(鈴木 美和子)
第13章 歴史的文化資産を活かした創造的地域の形成 —リビングヘリテッジをクリエイティブヘリテッジへ(本田 洋一)
第14章 包摂型社会の具現化に向けて—障害福祉施設の実践に学ぶ(川井田祥子)

終章 創造社会の扉をひらく
佐々木 雅幸

*目次は2019.6.4現在(変更になる場合がございます)

このページのトップへ

関連書籍

包摂都市のレジリエンス

包摂都市のレジリエンス

都市と社会の新しい関係を模索する

 
スケートボード資本論

スケートボード資本論

都市におけるスケートパークの機能と役割

著者:清水 麻帆
 
 
障害者と表現活動

障害者と表現活動

障害者のものつくり、アート表現の現在

著者:川井田 祥子
 
 
障害者の芸術表現

障害者の芸術表現

すべての人が暮らしやすい社会の構築へ

著者:川井田 祥子
 
創造の場から創造のまちへ

創造の場から創造のまちへ

地域資源を活かしたまちづくり

著者:萩原 雅也
 
 
アートの力と地域イノベーション

アートの力と地域イノベーション

芸術系大学と地域とのつながり

著者:本田 洋一
 
文化資本としてのデザイン活動

文化資本としてのデザイン活動

「デザインの力」は社会を変えるか?

著者:鈴木 美和子
 
 
文化力による地域の価値創出

文化力による地域の価値創出

地域のもつ力を “見える化”するために

著者:田代 洋久
 
 

このページのトップへ